私は、千葉県の船橋市をベースにして活動しています。現在の人口は64万8千人強ですが、外国人は2万1千人ほどいて(2023年11月時点)人口の3.2%を占めています。千葉県下でも外国人が多い地域ですが、ベトナムの方々は4千1百人もおられて中国系に次
第2位に位置しています。ベトナム食材の店や料理店も多くエスニックな雰囲気を漂わせている一角もあります。

ベトナムの人は、真面目で勤勉だからでしょうか、建設現場や製造現場でよく見かけます。船橋の建設業者のホーム・ページを見ていましたら、ベトナム語に変換できるホーム・ページを
見つけてびっくりしました。ベトナム人に直接アピールして、不足する人手を何とか確保しようと努力されていることが良く分かる例でした。50人程度の建設会社でしたが、一歩踏み込んだ努力が素晴らしいと思います。
もし、建設会社がベトナム人を特定技能で直接雇用したいと思い、入管への申請等も自前でやろうとすると、どんな手続きが必要になってくるのか。この点をご紹介して行こうと思います。

1.在留資格特定技能取得のために必要な書類

以下の書類が必要になります。

1.特定技能1号に係る提出書類
2.在留資格認定書
3.特定技能外国人の報酬に関する説明書
4.同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬である事の説明書とその日本人の経歴書
5.ベトナム語併記の書類
(特定技能雇用契約書、雇用条件書、賃金の支払い、雇用の経緯に関する説明書、徴収費用の説明書、
健康診断書、受診申告書、1号特定技能外国人支援計画書、登録支援機関との支援計画委託契約に関する説明書、
特定技能機関概要書、特定技能所属機関の役員に関する誓約書)
6.労働時間に関する書類(1年単位の変形労働時間に関する協定書、時間外労働の変形労働時間制に関する労使協定書、年間カレンダー)
7.履歴事項全部証明書、住民票の写し(特定技能者の業務執行に関与する者)、特定技能所属機関の役員に関する誓約書(初めての受入れの場合)
建設分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書)
8.社会保険料や税金の納付証明書(労働保険料等納付証明書、社会保険料納付状況照会回答票、納税証明書(その3)、法人住民税の市町村発行の納税証明書
9.建設特定技能受入計画認定証の写し(☞建設特定技能受入計画の認定申請について
10.
その他(技能検定3級の実技試験の合格証の写し、住宅賃貸契約書等)
11.パスポート

結構なボリュームですが、ほぼ全部自社にある書類です。5.などはベトナム語に翻訳しなくてはならないのか?と思ってしまいますが、入管のホーム・ページに日本語・ベトナム語併記のひな型がありますので雇用契約書などは、同じものを見ながらサインしてもらえばいいだけです。上記の中で、一番厄介なものが建設特定技能受入計画書の認定書の入手です。

2.建設特定技能受入計画認定証の申請の仕方

これは、何かと言うと建設省の意向に沿った経営をしているか、法令を遵守しているか、日本人の雇用に配慮しているか、受け入れた外国人の労働環境を守れるか等をチェックされるものです。以下の様な制約があります。

建設特定技能受入計画書を申請する時に注意しなければならないこと

1.システム申請しかできない
2.時間がかかる。通常2~3か月。混んでいれば4~5か月
3.フリーメール(@yahooとか@gmail等)はだめ。プロバイダーメールかアドメインメールであること
4.行政書士による代理申請は出来るが、申請は事業者のIDとPWでしなければならない(=事業者IDを取らなければならない)

まず、この事業者IDを取得した上で、自分で申請するか既に事業者IDを持っている行政書士に代行を依頼します。以下の書類が必要です。(行政書士に代行を頼む場合)

1.建設特定技能受入計画オンライン申請一覧
2.履歴全部証明書、建設業の許可証
3.健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(常勤職員分)
4.建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者IDを確認する書類(☞CCUSについて
5.特定技能外国人受け入れ事業実施法人に加入している事を証する書類(JACの正会員証か賛助会員)
6.委任状(行政書士に代行を頼む場合)
7.※ハローワークで求人した時の求人票

基本的に、先ず日本人を雇用しようとしたが採用できなかった。このため、次善策として外国人を雇用するというスタンスが必要です。最低3か月程度募集している実績が必要です。
8.就業規則及び賃金規定
9.同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬である事の説明書、同等の技能を有する日本人の賃金台帳、同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類
10特定技能雇用契約書・雇用条件書、賃金の支払い(入管様式)、雇用契約に係る重要事項説明書
11変形労働時間に係る協定届、変形労働時間に係る協定書、変形労働時間んに係る年間カレンダー

ここも、9と10は新規に作成が必要ですが、他は自社内にある書類だと思います。しかし、ここでもまた新手のCCUSというものが出てきました。少しウンザリします。しかもこのシステム、電話応対がありません。わからない事はメールで問い合わせるしかないのですが、簡単な質問に対しても回答が来るまで1週間位かかります。

3.建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者IDの取得

CCUSについては、ここで改めて説明する必要はないと思います。煩わしさから登録していない事業者も少なくないと聞きますが、外国人労働者を雇用する上では必須です。ただ、電話応対がないのにシステムの中の選択肢が不親切なため、私も登録には手こずりました。(当事務所はCCUS登録行政書士の資格があります)一度申請してしまうと、不備があった場合却下通知が来るまで訂正できません。却下が来るのにも1か月位かかっていた記憶があります。もし、CCUS登録行政書士に代行を頼まずご自分で申請する場合は、マニュアルをよく読んで申請される事をお薦めします。(CCUS登録行政書士でないと代行申請できません。)CCUSの事業者ID取得に必要な書類は以下の様です。

1.代行申請同意書、個人情報取り扱い同意書、システム利用規約同意書(この3つは行政書士に代行させる場合)
2.建設業許可証の写し、または建設業許可通知書の写し
3.健康保険加入証明書の写し
4.年金保険加入証明書(以下の書類のいずれか一点)
 ①領収済証の写し(出納印有)②社会保険料納入証明書の写し(証明者印有)③健康保険・厚生年金保険適用確認願の写し④健康保険・厚生年金 保険被保険者標準報酬月額決定通知書の写し⑤健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払い届の写し
5.雇用保険加入証明書(以下の書類のいずれか一点)
 ①雇用保険適用事業所設置届事業主事業所各種変更届事業主控の写し(受領印有)②納付書・領収証書の写し(出納印有)③労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の写し(受領印有)④労働保険料等納入通知書の写し
6.建設業退職金共済制度加入証明書の写し
7.中小企業退職金共済制度加入証明書の写し
8.労働者災害補償保険特別加入申請書の写し、若しくは労災保険特別加入証の写し

以上建設業で特定技能として外国人を雇用する際の要点をまとめますと、①JACの正会員か賛助会員になり、CCUSの事業者IDを取る。→②建設特定技能受入計画を認定してもらう。→③在留資格特定技能1号を申請する。

4.ベトナム人特有の書類

上記に加えて、ベトナム人の場合在日ベトナム大使館が発行する、『特定技能外国人票』が必要になります。1.の在留資格特技能を取得するために必要な書類の表の一番上にある特定技能1号に係る提出書類一覧表の中に、『二か国間取り決めにおいて定められた遵守すべき手続きに係る書類』が記載されているので一緒に出すべきなのですが、時間の節約のためこれ以外の書類が揃った段階で入管には申請してしまい、後日提出を求められた時に対応します。

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