技・人・国の在留資格をとれば奥さん(旦那さん)や子供は日本に呼ぶことが出来ます。でも、国に年老いたお母さんやお父さんがいたとしても、呼び寄せる事はできません。絶対無理か?と言われれば、事情を考慮して特定活動で許可されることもありますが、ハードルがすごく高いです。親が高齢である、本国で一人で生活できない理由がある(病気を患っている等自活できない相応の理由がある)、親族が誰もおらず孤独である、等々でとても暗い独居老人のイメージが浮かびます。元気で資産もある親では、呼び寄せることは無理なのでしょうか?在留資格高度専門職の高度人材に該当すれば可能です。以下その概要をご説明します。

1.高度専門職の特典

高度専門職には1号と2号がありますが、1号を経ないと2号には行けませんので、ここでは1号についてご説明します。高度専門職には以下の様な特典があります。

1)複合的な仕事ができる

通常の就労系の在留資格では、仕事は1つに限定されます。しかし、高度専門職の場合は例えば、どこかの企業に研究者として勤務しながら、その研究内容に関連する自分の会社を興すことが出来ます。貿易会社の経営幹部をしながら、自前の貿易会社を運営する事も可能です。

2)在留期間5年間の付与

初回申請で、いきなり最長の5年間がでます。考えてみてください。技・人・知で1年、また1年と積み重ねてやっと3年をもらえても最長の5年は結構遠いです。それが、初回からぱっと貰えます。

3)在留歴に係る永住許可要件の緩和

永住許可のためには、原則引き続き10年日本に在留していることが必要です。それが、高度人材と認められれば、3年に短縮できます。(80点以上なら1年です。)

4)配偶者の就労

家族滞在で来日した奥さん(旦那さん)は、資格外活動をとっても週28時間までしか働けません。フル・タイムで働きたいと思ったら、技・人・国等の在留資格を取り直す必要があります。学歴要件や職歴要件がある在留資格もあってとても面倒です。しかし、高度人材の配偶者の場合は、学歴・職歴要件を満たさなくてもこのような在留資格に該当する活動が出来ます。

5 一定の条件の下での親の帯同の許容

今回の記事のハイライトです。現行制度では、就労を目的とする在留資格で在留する外国人の親の受入れは認められませんが、 (1)高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合、(2)高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合については、一定の要件の下で、高度外国人材又はその配偶者の親(養親を含みす。)
の入国・在留が認められます。 

                             

主な要件
(1)高度外国人材の世帯年収※が800万円以上であること
※高度外国人材本人とその配偶者の年収を合算したものをいいます。
本人自身の収入が800万円未満でも、4)により配偶者が自由に働けますから800万円もそれほど高くないハードルです。
(2)高度外国人材と同居すること
これは、当然と言えば当然です。
(3)高度外国人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること
夫(高度人材)の父、母、両親、妻(高度人材の配偶者)の父、母、両親です。夫の母と妻の父の様な組み合わせはNGです。

6 一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容

ここは、条件も複雑で長くなるので入管庁の該当ページを参照してください。高度人材が受けられる優遇措置

7 入国・在留手続の優先処理

在留資格に係る申請は、受領日から5日以内を目途とされています。信じられない速さです。

2.点数をチェック

それでは、実際のポイント加算について実際のモデルを使って注意点をチェックしながら、計算してみたいと思います。
高度専門職の採点表はこちらを参照ください。

今回は、中国籍のTさんの申請をサンプルにします。

Tさんのプロフィール

 国籍            : 中国
 年齢            : 33歳
 現に有する在留資格     : 技・人・国
 取得したい在留資格     : 高度専門職1号(ロ)
 最終学歴          : 中国の大学(学士)
 大学での専攻        : 言語学(日本語・英語)
 語学力           : 英語 TEM8 /日本語 大学で日本語
                              専攻
 従事している業務      : 各種プロジェクトマネージャー
 雇用形態          : 正社員(雇用の定めなし)
 雇用会社の主な事業内容   : IT関連業務
 年収            : 770万円(見込み額)
 企業規模          : 資本金35億円、売上高約260億円

1.学歴:10ポイント 大学卒
2.職歴:10ポイント Tさんの職歴は実際には7年3か月4日ありました。本来なら15ポイント獲得できるはずでしたが、過去に勤務した会社が倒産して退職証明書を入手できなかったため、5年以上7年未満の枠しか使えず10ポイントに下がりました。
その人のキャリアを証明するため、いつからいつまで、なんという会社で、どのようなポジション(職種)で勤務していたかを退職した会社に証明しもらう必要があります。このため、喧嘩別れの様な退社は以降のことを考えて避けるべきでしょう。
3.年収:25ポイント Tさんの見込み年収は770万円です。この見込み年収がチェックポイントです。過去の実績ではなく、企業がこれから出す金額を年収見込み証明書として添付します。会社に書いてもらってください。
4.年齢:10ポイント
5.日本語能力:15ポイント 中国の大学で日本語を専攻している。

合計:70ポイント

Tさんは、ぎりぎりでしたが70ポイントをクリアーし、めでたく高度専門職の在留資格を取る事ができました。

3.高度人材に関する注意点

1)最低年収の制限:1号の(ロ)と(ハ)はポイント計算表の年収欄の(注)に最低300万円の年収が必要とあります。年収が300万円に満たない場合はたとえ合計が70ポイントを超えたとしても許可されません。

2)転職時の注意点:転職した場合、契約企業先が変わりますので、入管に再申請する必要があります。高度人材は技・人・国と同じように特定の会社に紐づけられている在留資格です。高度人材資格は本人への評価で、一度許可されたら自由に会社から会社に渡り歩けると勘違いしている人がいますが、転職した場合は再度許可が下りるまで働いてはいけません。将来帰化を申請する際に悪影響が出る可能性があります。

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