前回は、金融機関での口座の話を中心に外国人が、日本で会社を設立する際の注意点を述べました。今回は事務所を借りる時や資金調達についての注意点をご紹介したいと思います。

経営管理ビザ
経営管理ビザ
経営管理ビザを

不動産・事務所契約の注意点

法人名義であること

事務所の賃貸は、法人名義でなければなりません。個人名義では経営管理ビザがおりません。個人名義で契約した場合、貸主に法人名義に変更してもらえるか必ず確認して下さい。見切り発車して登記をしてしまった後で、大家さんが事務所としての使用を認めない、となった場合はまた事務所を探して、登記上の住所を変えなければなりません。事務所の場所が重要な場合には、事業計画の変更も迫られる可能性もあります。
因みに、自宅住所でも登記は出来ます。しかし、経営管理ビザは許可されません。

重要なポイント

居住用と事務所用のスペースは分けなければならない。図面上明確に分ける。
 戸建てなら、1Fを事務所2Fを居住用にすれば可。光熱費や水道代を法人用と個人用できちんと配分する。法人と個人間で契約書を作成する。可能ならば1Fと2Fの玄関を違えるとか、1Fに看板を出すなど明確化も必要になる。
 マンションは3LDKでも不可である
 バーチャルオフィスは不可
✔ レンタルオフィスの場合個室であれば可能
✔ 友人の会社に間借りする・・・事務所として認められない。例えば、入口が同じでも、事務所スペースが壁やドアで完全に区分されて独立していれば可能。パーティションは不可
 転借した事務所:きちんとしていれば問題ないが、理由書になぜ転貸借だったかを説明しておく。

  

認められた事例と認められなかった事例

認められた事例

①住居でも許可・・・貸主と特約を結び、会社の事務所としての使用を認めてもらっていた

②本店が役員自宅であるが、支社として商工会議所の物件を借りていた。

③会社事務所と住居部分の入り口が別。事務所入り口に社名の標識、事務所にパソコン、電話、事務机、コピー機などがあり事業を営んでいる事が確認できた。

認められなかった事例

①郵便受けや玄関に会社の標識がなかった。室内にも事業運営に必要な備品や設備が無かった。従業員の給与簿や出勤簿もなかった。

事業所が従業員名義で(法人名義でも経営者名義でもなかった)その従業員の住居だった。施設の光熱費の支払いも従業員名義だった。居住用以外の使用について大家の許可をとっていなかった。

出さなければならない書類

経営管理ビザを申請する時に事務所に関して提出すべき書類には、以下の様なものがあります。

会社の写真(ビル概観、入り口、ポスト、オフィス内、建物の住居表示、フロア別案内板等。オフィス内に机、PC,電話、キャビネット等)
オフィスの建物賃貸借契約書のコピー(所有の場合は、登記事項証明書)

資金調達についての注意点

500万円はどうやって調達したのかを明確に説明する必要があります。出入国管理局からは詳細な説明を求められます。


 自分で貯金していたのであれば、どうやって貯めたのか? ➡ 毎月積み立てていた通帳のコピーを提出することがベスト
 借りたということであれば金銭消費貸借書はあるか? その契約の内容はどのようなものか?
 もらったのであれば、誰からもらったのか? どうして500万円もの大金をくれるのか?
  ➡本国の親の口座がチェックされることもある。


 親や親族から資本金を借りる時の注意点

金銭消費貸借契約書、送金記録、親や親族との関係性を証明できる公的書類を揃えておく。

 外国から持参する場合。

100万円以上は税関申告が必要で証明書が出るので、それを証拠書類として使う。

以上事務所を借りる時と資本金の調達経路について注意すべき点をご紹介しました。特に事務所を借りる時は、次の段階で経営管理ビザの申請をしなければならない事を念頭において慎重に考えてください。

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