結婚の手続きが完了して、日本人とその外国人配偶者が日本で暮らしてゆくためには、外国人配偶者は在留資格を取得する必要があります。身分系の日本人の配偶者等(以下日配)が就労制限がないため、ほとんどの外国人配偶者はこの資格を選びます。今回は、この日配を取得の内容についてご紹介したいと思います。

国際結婚

就労制限がない日本人の配偶者等(日配)

就労系のビザ、技術・人文・国際だと勤務先と職種が限定されます。△△株式会社のITエンジニアリング部門でのシステム開発なら、それ以外の仕事はできません。留学生や家族滞在者は、資格外活動許可を取れば28時間/週以上は働けません。日配ビザは、この様な制限がありません。現業職、アルバイト、営業職なんでもできます。

日配ビザ申請に向けた事前知識

尋ねられる内容と写真

日配の申請の際には、2人の交際の経緯を全て聞かれます。口頭ではなく、『質問書』に文書で回答するのですが、微に入り細に入れ事細かに聞かれます。例えば、どのように知り合ったのか?紹介者はいるか?その紹介者はどのような人か?(電話番号、紹介された場所、紹介された年月日等)紹介者と申請人の関係は?などなどです。

質問書

また、交際中の写真を出来るだけ多く用意した方がいいです。偽装結婚が見逃され、東南アジア系の女性が風俗店で働かせられたことが、大きな問題になった時代がありました。偽装結婚を回避すべく出入国管理局の質問はかなり突っ込んでくる様です。

不許可になり易い申請例

必要書類を揃えることを初め、説明責任は申請者側にあるので、2人の関係を充分に説明できる説得性の有る書類や写真を揃えてください。以下の様な場合は、不利になる事があります。真摯な交際である事をアピールできる補強資料や材料を積極的に用意しましょう。

✅ 夫婦の年齢差が非常に大きい
✅ 結婚紹介所に仲介してもらった結婚である
✅ ネットの出会い系サイトで知り合った
✅ 生計を維持して行く日本人の配偶者の収入が低い(アルバイト、フリーター、無職)
✅ 日本人の配偶者が過去外国人数回外国人と離婚している、もしくはその逆のパターン
✅ スナックやキャバレー等の夜の歓楽街で知り合った交際である
✅ 極短い交際期間で結婚している
✅ 写真をほとんど撮っていない為交際の事実を客観的に証明できない
✅ 結婚式を行っていない場合

国際結婚で年齢差が大きい場合や収入が低い場合への対処法

外国人配偶者を日本への呼寄せる場合

外国人配偶者が海外に住んでいる場合は、日本に呼び寄せることになります。日本人の海外留学や海外駐在等で現地で結婚した場合や、結婚紹介所で国際結婚をした場合、いづれの場合も外国人配偶者には日本での在留ビザがありません。外国人配偶者のビザの取得方法を二つ考えてみます。

在留資格日配を申請する方法

オーソドックスな方法です。多少時間はかかりますがプロセスが明確です。以下の様な流れになります。

国際結婚手続き完了
   ↓
日本人の配偶者が日本の出入国管理局へ外国にいる配偶者の在留資格認定証明書(COE)を申請する
   ↓
在留資格認定証明書を取得する。外国にいる配偶者に(COE)を郵送する
   ↓
外国人配偶者はCOEを持参して外国の現地日本大使館へビザの申請をする
   ↓
現地の日本大使館でビザが発給される
   ↓
来日
する

日本人の配偶者(若しくは行政書士等申請取次資格を有する者)が出入国在留管理局で、外国人配偶者の在留資格認定証明書の申請をします。
在留資格認定証明書が入手できたら、外国にいる配偶者は自身で現地の日本大使館に出向きビザの発給を受けます。
在留資格認定証明書の有効期間は、発行後90日なのでこの期間内に日本に入国しなければなりません。
現地のビザは通常数日で発行されます。しかし、現地サイドでしかわからない、申請人の個人情報、・・犯罪歴、麻薬売買等・・により現地でのビザが下りない場合もあります。殆どの場合大丈夫ですが、在留資格認定証明書が発行されたからといって、100%現地ビザがおりる保証はない事は注意しておいてください。

短期滞在から日配に変更する方法

日配の通常申請だと、日本に入国できるまで1~3か月位かかります。短期滞在90日で日本に入国し、日本人の配偶者等に在留資格変更申請をする、とゆうのは『やむを得ない特別の事情』の場合を除いて原則認められていません。(例外もありますが、重篤な病気の場合で出入国在留管理局の永住審査部門に事前相談をしておく等かなり入念な事前対策が必要です。)

変更は原則できませんが、短期滞在90日で来日し、直ぐに在留資格認定証明書(日配等)の交付申請をします。
90日の滞在中に認定証明書がもらえたら、認定証明書を添付して在留資格変更許可申請をするという方法です。
この方法なら、帰国せずに手続きを進めることが出来ますが、上記の方法に比べてイレギュラー感はあります。この方法を取らなければならない場合は、事前に出入国在留管理庁に事前に相談して指示を仰いで下さい。

既に日本に居る外国人配偶者を日配等に変更の時に注意すること

留学生から日配等への変更の場合

配偶者が外国人の留学生の場合、日配等への変更は、①卒業後に変更するのと、②大学等を退学して変更するのでは、難易度が随分違ってきます。

①の場合は、留学が終わり結婚に進んでからの変更申請ですから、違和感はもたれません。しかし、②の場合、出入国在留管理庁は、『なぜ、学校を辞めてまで、結婚を急ぐのか?』という事を深堀して来ます。


勉強には飽きてしまったが、日本には居たいだけではないのか? とか
成績が不良で学校を退学になりそうなのを防ぐためではないのか? とか
金銭的な目的で日本人と結婚するのではないのか? 等々です。

真摯に結婚を考え、事情により退学という選択をしなければならない場合だってあるでしょう。しかし、過去の事例からそうではなかった場合も多い様で、退学-結婚の場合は真面目な結婚であるといことを証明する努力が必要であることは念頭に置いておいてください。このため、通常なら出す必要のない書類、学校の成績証明書、退学証明書等を要求される場合も多いです。

就労ビザから日配等への変更の場合

もともと就労ビザで働いている外国人は、結婚したからと言って日配等に変更する必要はありません。しかし、日配等に変更すれば就業の制限は無くなりますし、永住や帰化の申請をする時にハードルがぐっと下がりますので、後々の事を考えて日配を選択する人が多いです。日配の選択には以下の様なメリットがあります。

 どんな職業にもつける          (風俗営業に係る事も可能になる)
 仕事を継続している必要がなくなる    (仕事に就いたり、辞めたり、断続的な勤務形態も可能になる)
 転職の都度入管に申請をしなくても良くなる
 永住許可の条件が緩和される
 帰化の申請の条件が緩和される
 会社設立の際経営管理ビザを申請しなくて良くなる

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