連れ子を呼ぶ方法として、☞『外国人配偶者の連れ後を呼ぶ方法』の中で養子という選択肢もある事をご紹介しました。今回は養子縁組で注意すべき事や、離婚係争中の在留資格、離婚後日本人の子を養育する外国人親の在留資格などをご紹介します。

特別養子縁組

養子縁組と子の呼寄せ

QUESTION

私は、外国人です。今度日本人男性と結婚することになりました。母国に前夫との間の子供がいます。私の子供をこの日本人の養子にしたいのですがどうすればいいでしょうか? 子供を日本に呼びよせるにはどうしたらいいでしょうか?


ANSWER

日本法に基づいて養子縁組をすることが出来ます。但し、母国の法律にも気をつける必要があります。呼び寄せる方法は、『定住者』が使えますが、『特別養子』になれば『日本人の配偶者等』が使えます。

事前に確認すべき母国の法律

日本で、日本人の養子になる場合は、日本の法律に従います。しかし、その子のいる国の法律で以下の様な『保護要件』がある場合は、注意が必要です。

『養子もしくは第三者の承諾、もしくは同意、又は公的機関の許可や、その他の処分があることを要件とする時は、その要件(=規制条件)をクリアーしなければならない。』

本人は日本人の義父の養子になる事を希望しているとしても、母国の法律によって前夫の承諾や同意が必要ないのかどうか、確認しておいて下さい。

養子縁組の手続き

一般的な手続き

  • 日本で養子縁組を行う場合は、養子縁組届に養親と養子及び成年の承認2人が署名捺印して、市区町村長に届けます。
  • この時必要な書類は、
    ①養親の戸籍謄本または戸籍抄本、
    ②養子の年齢等を証明する書類(パスポート、出生証明書、身分証明書等)、
    ③養子の本国法に保護要件がある場合はこの要件を具備する証明書
    の提出が必要です。

呼寄せる場合の子供の在留資格

定住者告知7で呼べる養子

日本人、永住者等の扶養を受けて生活する6歳未満の普通養子の場合は、定住者告示7に該当します。

定住者告知6で呼べる養子

6歳以上の普通養子である場合でも、
義父が、日本人、永住者、特別永住者または1年以上の在留期間を指定されている定住者のいずれかでで、実母が日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等のいずれかであれば、母の実子で未成年で未婚である子は定住者告示6のに該当します。

離婚

QUESTION

私は、外国籍です。日本人の夫と結婚していて子供もいます。現在日本に住んでいます。夫婦仲が悪くなったので離婚をしたいと思っています。私は、離婚後も日本で暮らしたいのですが、可能でしょうか?在留資格はどうなるのでしょうか?


ANSWER

離婚協議中や離婚係争中は何らかの在留資格が認められる可能性が高いです。離婚成立後は一定の条件を満たした場合に、在留資格が認められることになります。

離婚前・離婚係争中の在留資格の取り扱い

☞『離婚したら日本に居られなくなるの?』で、一定条件を満たせば定住者として日本に在留出来る可能性がある事をご紹介しました。今回は、その前段階での在留資格の取り扱いと、出入国管理庁の
日本人の実子を扶養する外国人親の取扱について』をご紹介して行きたいと思います。

離婚前・離婚係争中の在留資格

入管法22条の4の第1項7号には、
実質的な婚姻生活を6か月以上行っていない場合には、日本人の配偶者等の在留資格又は永住者の配偶者等の在留資格を取り消すことが出来るとしています。しかし、
括弧書で、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。としています。

以下の場合は、婚姻生活を継続していない正当な理由とみなされます。

  • 配偶者からのDVを理由に一時的に避難又は保護を必要としている場合、
  • 離婚調停又は離婚訴訟中の場合

また、離婚係争中は離婚について協議をしたり調停・裁判等、何らかの活動をしている間は、日本人の配偶者の協力が無くても、『日本人の配偶者等』の在留期間の更新や『特定活動』等何らかの在留資格を認めています。

離婚成立後の在留資格

離婚成立後に、『日本人の配偶者等』、『永住者の配偶者等』の在留資格があった人は、

  • 離婚が成立してから14日以内に入管に届けなければなりません。
  • さらに離婚から6か月が経過した場合、『正当な理由』が無い限り在留資格の取り消し対象になります。

在留資格を変更しなければならなくなるわけですが、

  • 婚姻期間や日本での滞在期間が長期に亘る場合、『永住者』・『定住者』
  • 日系人である場合、『定住者』
  • 日本人の子の親権者や監護者になった場合の『定住者』
  • 技・人・国等の就労系に就く

の選択肢が考えられます。

定住者として認められる基準

配偶者として日本での同居してから3年間(死別の場合は1年)の経緯及び将来の生活状況・安定性が判断基準になります。

日本人の実子を扶養する外国人親に関して

1996年に入国管理局(当時)から以下の様な定住通達が出されています。

趣旨及び目的

日本人の実子である未成年者が、我が国で安定した生活を営むことができるようにするため、その扶養者たる外国人親の在留についても、配慮が必要であるとの観点から、入国在留審査の取扱いを定めたものである。

外国人親の在留資格の取扱い

(1)日本人の実子を扶養する外国人親の在留資格について

未成年かつ未婚の実子を扶養するため本邦在留を希望する外国人親については、その親子関係、当該外国人が当該実子の親権者であることに加え実子を本邦において※1養育、監護していることが確認できれば「定住者」(1年)への在留資格の変更を許可する。

なお、日本人の実子とは、嫡出、非嫡出を問わず、子の出生時点においてその父または母が日本国籍を有しているものをいう。実子の日本国籍の有無は問わないが、日本人父から認知されていることが必要である。

※嫡出とは法的な婚姻関係から出生した子供に対し、非嫡出は、内縁等法的な婚姻関係がない父と母から出生した子供です。

(2)在留資格変更後の在留期間更新の取扱い
実子が未だ養育、監護者を必要とする時期において、在留期間の更新申請時に実子の養育、監護の事実が認められない場合は、原則として同更新を許可しない。

 (3)提出書類

(ア)身分関係を証明する資料
(イ)親権を行うものであることを証する書類
(ウ)日本人実子の養育状況に関する書類
(エ)扶養者の職業および収入に関する書類
(オ)本邦に居住する身元保証人の身元保証書

※1 現在の入国在留審査要領では、「現に相当期間当該実子を監護・養育していること」となっています。
※2 現在の入国在留審査要領では、「生計を営むに足りる資産又は技能を有 すること。」(独立生計要件)の要件が追加され、また、「これらの要件に該 当しない場合でも、申請の内容にこれらと同視し得るような特別な事情が認め られるときは、当該事情を考慮して審査を行う。」との記載があります。

如何でしたでしょうか?様々な事情から、離婚という選択肢を取らざるを得ない人もいると思います。ケジメを付けた後お子さんと殿様に係って行くのかも良く考えて頂きたいと思います。

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