帰化を叶えるには、守らなければならない6つの要件がありました（☞『それではOUTあなたの帰化』）①居住要件、②能力要件、③素行要件、④生計要件、⑤重国籍防止要件、⑥憲法遵守要件（不法団体要件）です。このうち居住条件は、５年間引き続き日本に居住している事、というものでした。しかし、５年に満たなくても申請が受け付けられる人たちがいます。
目次
日本と特別の血縁・地縁関係が有る外国人
以下の３つのどれかに該当し、今現在日本に住居がある外国人に適応されます。居住条件（引き続き５年以上日本に住所がある事）が緩和されます。
日本国民であった人の子供（除く養子）
居住条件は、引き続き３年以上日本に住所があるか、または居住がある人です。
※ 住所とは、
『生活の本拠』と定義されています。家屋があって、そこから職場に通い生活の糧を得て、家族で暮らしている場所等です。
居住は、
『生活の本拠と言う程度には至らないが、その人が現実に住んでいる場所』です。単身赴任している人の単身先のアパート等のイメージです。
日本国民であった人とは
日本国民であった人とは、以下の様な人を指します。
●自分の自分の意志で外国籍を取得して日本国籍を失った人
●外国籍を選択したことにより日本国籍を失った人
渡米して、アメリカ人と結婚して米国籍を取得した等が典型的です。日本は、二重国籍を認めていませんので、米国籍を取得した時点で国籍喪失届を出す必要があります。日本大使館や領事館に国籍喪失届を出します。日本大使館や領事館からその人の戸籍謄本がある市区町村に通知され、抹消処理されます。パスポートも返納します。
●国籍離脱によって日本国籍を失った人
日本と外国の国籍を持つ人が、法務大臣に対し日本国籍を離脱する届出を出すと日本国籍を失います。父母が日本人の人が、米国で生まれる場合が典型です。
自分が日本生まれ、又は父母が日本生まれの人
・自分自身が、日本で生まれて引き続き３年以上日本に住所か居住がある人か、
・もしくは父親か母親（養父母は除く）が日本で生まれた人が該当します。
引き続き１０年以上日本に居所がある人
資格要件としては、居所で良いのですが、帰化申請時には住所が必要です。また、適法な在留資格を持って居住する所でなければならない、とされていますので、１０年日本に居てもオーバーステイ等の違法滞在は対象外です。
日本人の配偶者である外国人
居住要件と能力要件（１８歳以上であって、その人の本国法でも能力者（＝私法上の法律行為を単独で完全におこなうことができる能力）であること）が緩和されます。
パターン１
日本人の配偶者で、引き続き３年以上日本に住所又は居所があり、現に日本に住所を有する人。
この場合、婚姻期間の長短は問わないとありますから、技・人・国で３年在留していれば、日本人と結婚した時に帰化申請の権利が生じます。
パターン２
日本国民の配偶者であって、婚姻の日から３年を経過し、かつ引き続き１年以上日本に住所がある人。
外国で結婚生活を送り（法定婚に限ります）、その後日本に来て１年経過した様な人です。但し、短期滞在から帰化は出来ませんので、一度日本人の配偶者等の中長期の在留資格を取得する必要があります。
日本と密接な血縁・地縁を有する人達
上記の『日本と特別の血縁・地縁関係が有る外国人』よりも更に日本と密接な関係にある人達です。彼らの場合、以下の３つが緩和されます。
- 居住要件
- 能力要件
- 生計要件 （＝自己又は生計を共にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営む事が出来る事）
日本国民の子で（除く養子）日本に住所がある人
父母のどちらか一方が、日本人であれば当てはまります。父又は母が死亡の際に日本人であった場合も含まれます。親子関係は、法律上のものである必要があります。
日本国民の養子で引き続き１年以上日本に住所があり、養子縁組の時本国法で未成年であった人
日本人と養子関係が継続している必要があります。養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も、このケースに該当しますが、成年養子は除かれます。
日本の国籍を失ったもので日本に住所がある人
日本に帰化した後に、日本の国籍を失った人は除かれます。かつて日本の国籍を持っていた人が対象です。かつて日本国民であった人の項で、日本国籍を失った人たちの例を列挙しましたが、いづれでも可です。
日本生まれで、出生の時から無国籍で引き続き３年以上日本に住所がある人
日本の国籍の決め方は、基本的に血統主義です。ですから、日本人の子として生まれればアメリカで生まれても日本国籍を有します。日本で生まれたけれど、父母がともに知れないとか、父母が揃って無国籍の様な場合無国籍の子の発生を防止するために例外的に生地主義が採られています。
以上帰化の条件が緩和される人たちの例をご紹介しました。”かつて日本人”という表現は、一見？？なのですが、国籍を軸にして考えると合点が行く所が多いと思います。
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