現業を持つ中小企業の人手不足は本当に深刻です。現在、従業員の1割を外国人が占めているという建設業者もいます。特定技能の外国人を雇う場合、自社で管理が出来る企業は、特に中小企業の場合経験やコストの面からほとんどないと思います。支援機関と契約を結ぶことになりますが、中にはあまり仕事をしてくれない支援機関もあって困っていますという声を聴きます。信頼できる支援機関選びのポイントを見ていきましょう。
受入れ企業に求められる条件
特定技能1号の外国人を雇い入れるには、実に様々な条件をクリアーしなければなりません。
受入れ企業の適合基準
① 労働、社会保険及び租税に関する法令の遵守 |
② 1年以内に特定技能外国人が行う業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていない事(自発的な離職や定年退職等は除く) |
③ 1年以内に受入れ機関の責任による行方不明者を発生させていない事 |
④ 欠格事由に該当しない事 ・欠格事由:法令違反による罰則を受けた、特定技能外国人への支援不履行、役員等の適 格性を欠く場合、技能実習の認定取り消しを受けた、暴力団員等、保証金等の徴収等 |
⑤ 5年以内に出国または労働関係法に関する不正行為を行っていない |
⑥ 特定技能外国人の活動状況に関する文書を作成し、事務所に備えておくこと |
⑦ 支援費用を特定技能外国人に負担させないこと |
⑧ 労災保険に関する手続きを適切に行っていること |
⑨ 雇用保険を確実に履行できる財産基盤を有している事 |
⑩ 報酬の支払いを預金口座への振込又は現金支払いの場合は支払いを裏付ける客観的な資料を提出できること |
⑪ 外国人を支援する体制があること(登録支援機関に全部委託する場合は不要) |
⑫ 産業分野ごとに定める基準に適合していること |
⑬ 派遣形態の場合、定められた基準に適合していること(漁業と農業) |
⑪に関しては、自社で対応することも可能ですが、
- (ア)受入れ機関に過去2年間に就労系の在留資格をもって在留する外国人(中長期在留者)の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、かつ、役員または職員の中から支援責任者、特定技能外国人が活動する事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること(兼務可)
- (イ)過去2年間に就労系の在留資格をもって在留する外国人(中長期在留者)の生活相談業務に業務として従事した経験がある役職員の中から支援責任者及び特定技能外国人が活動する事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること(兼務可)
- (ウ)(ア)、(イ)と同等程度に支援業務を適正に実施することが出来るものとして認められること
という条件があって人数に限りがある企業では、専任者を置くのは難しいと思います。
登録支援機関の役割
受入れ機関(=企業)ではフォローしきれない外国人の支援を担うのが登録支援機関です。上図の様な関係になります。受け入れ機関にとっては不可欠な存在です。
実際、登録支援機関はどの様な事をしてくれるのかと言うことなんですが、以下の必要内容を企業に代わって担当してくれます。以下に示す10項目の内容は、支援計画として入国管理局への特定技能の申請時に提出しなければなりません(義務的支援)。特に定期的な面談においては、基本的にその人の母国語でのコミュニケーションが求められます。(ベトナム人ならベトナム語で、スリランカ人ならシンハリ語で)支援団体は、自分たちが何語で対応できるかを明示しています。雇用する人に合わせてその言語に対応できる支援団体を選択しなくてはなりません。
更に、特定技能所属機関による支援状況に係る届出を年に4回提出しなければなりません。これを怠ると受け入れ機関に求められる基準の④の欠格事由に該当し、その後特定技能外国人を受け入れられなくなります。
どのような支援機関を選べばいいのか? 3つのポイント
支援機関は、企業が特定技能外国人を雇い続けられるかどうかを左右する重要な機関です。しかし、残念ですが中には自分たちの地位に胡坐を欠き、企業が負担する費用に見合った支援をしない機関も少なからず見受けられます。
良い支援機関を見分けるポイントを3つご紹介します。
信頼性
実績を確認します。登録支援機関の歴史はそれほど長くないので、どの会社も登録支援機関としての実績年数はそれほどありません。このため、登録支援機関としての実績ではなく会社の本業を含めた実績を見ます。別の本業が、人材派遣業者(お薦め)、技能実習生の監理団体、行政書士事務所等のいづれかなのかをチェックします。
その本業の部門で、どれだけ特定技能外国人の義務的支援に類似した業務をしてきたか?を確認します。特にイラストの中の③の住宅の確保と⑦相談苦情への対応はポイントです。
✅義務的支援③の住宅の確保は特に難しいです。大家が外国人に部屋を貸したがらないからです。
➡十分に実績がある、もしくは不動産屋とネットワークを組んでいる支援団体は住宅の確保も責任をもってやってくれます。
✅⑦相談苦情への対応・・・相談実績を確認しておく
ビザ、事故、医療、生活手続き等、入管法や労働法を含むあらゆる面での知識と母国の文化的背景の理解、本人と企業間の調整を図れる様なコミュニケーション能力が求められます。
規模
⑦に関連する留意事項として以下のようなガイドラインが出されています。
相談・苦情の対応は、特定技能外国人の勤務形態に合わせて、1週間当たり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応し、相談しやすい就業時間外(夜間)などにも対応できることが求められます。(相談・苦情はいつよせられるか分からない事から、相談・苦情専用のメールアドレスの設置などにより可能な限り休日や夜間においても対応可能な体制を整えていること。また、事故発生等緊急時の連絡先を設け基本的にいつでも連絡が受けられる体制を構築することが望まれる。
✅24時間体制で、母国語で相談に乗れる体制を整備しているか?
✅支援団体の従業員数ではなく、生活相談員(支援担当者)の数を確認してください。(入管の登録事項)
対応言語
✅ベトナム人ならベトナム語、インドネシア人ならインドネシア語での対応が必須です。雇用した外国人の言語に対応できない支援機関は論外です。(ただし、フィリピン等英語が公用語、準公用語になっている国の場合は英語対応が認められます。)
✅日本語が流暢な外国人には、日本語で対応しても良いのでは?
➡ NG 母国語で対応する事が推奨されています。“流暢”というのは主観。N1を持っていたとして日常のコミュニケーションは問題がないとしても、雇用契約書や労働条件書等高難度の日本語を充分理解しているかどうかは分からない、とされます。
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