2023年の出生数は、75万8千人だそうです。2035年には50万人を割り込むのではないかと危惧されています。出産の前提となる婚姻数も50年ぶりに50万組を割って49万組に減少したとのことです。1933年(昭和8年)は人口が6700万人だったそうですから、いかに少ない数字かが分かります。団塊の世代が後期高齢者に入り始め今後は益々人口減に拍車がかかって行くことが想定されます。
人口減少社会の対策として、外国人の積極的な受け入れのために随分急ピッチで法改正がされている感じを受けます。外国人が、日本で働く時に先ず越えなければならないのは日本語の壁で、来日して1~2年日本語学校に通い、進学や就職を果たしていきます。日本語学校は外国人にとっての登竜門ですが、この度大きな変革がありました。
目次
新しい認定制度の概要
背景
日本を志向する外国人は増え続けていて、令和元年には約28万人いました。今後も増え続ける事が予想されますが、学校ごとの教育水準や教師の質が均一ではなかった上に学習者予定者が外部から学校の教育水準等について正確な情報を得ることは困難でした。
このため、日本語教育機関(日本語学校)の質を確保する事と日本語教師の資格化を目的とした法律の整備が計画されました。
概要
『日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律』これが新しい法律の正式名です。日本語教育機関の認定制度の創設と認定日本語教育機関の教員の資格の創設を柱としています。
日本語教育機関の認定制度の創設
日本語教育機関の認定制度
文部科学大臣の認定を受けることで、日本語教育を適正で正確に実施していることを証明することが出来ます。
認定の効果
文部科学大臣が、認定された日本語学校を多言語でインターネット等を通して公表します。更に、認定された日本語学校は、生徒を募集する時の広告に文部科学大臣が定めた表示を付ける事が出来ます。
ここが、ポイントでしょう。認定マークがあるかないかでその学校に対する信頼度が違って来ますので、認定されていない学校には生徒は来くなります。更に移行措置が終了する令和11年3月までに認定を受けておかないと、留学生の受け入れが出来なくなりますので、学校が存続が出来ません。
認定日本語教育機関の教員の資格の創設
日本語教育を行う教員は、①日本語教員試験に合格し、②文部科学大臣の登録を受けた登録実践研修機関で実践研修を受けて、登録日本語教員として文部科学大臣の登録を受ける必要があります。
認定日本語教育機関の設置者の要件
日本語学校を運営しようとする人に求められる要件です。以下を全て満たす必要があります。
資金的要件
日本語教育機関を経営するために必要な経済的基礎を有すること、と規定されています。以下の内容が求められます。
1.当面の運転資金を保有していて、債務超過になっていないこと。 |
2.生徒の募集等のために第三者に仲介料を支払っている場合は、仲介料が授業料に比べて高すぎないこと。 |
3.多角的経営で日本語学校以外の事業を行う場合は、事業ごとの収支を明確に区分すること。 |
知識・経験に関する要件
日本語教育機関を経営するために必要な知識又は経験を有すること(法人の場合は、経営を担当する役員が、知識又は経験を有すること)と、規定されています。
1.明確な開校理念が存在すること。 |
2.提供する教育内容等に関する経営方針が立てられていること。 |
3.適正な組織や施設を設置する事業計画が策定されていること。 |
4.関係する法令や政策文書に理解があること。 |
社会的信用を充足していること
社会的信望を有すること(法人の場合は、経営を担当する役員が、社会的信望を有する者であること)と規定されています。以下の違反内容がないことが求められます。
1.過去に日本語学校の運営に当たって、学校としての活動を行わず生徒に損害を与えたことがある。 |
2.入管法に関する違反(経過措置あり)。 |
3.教職員免許法による失効や取り上げ処分を受けている(経過措置あり)。 |
4.反社会的勢力及びその関係者(経過措置あり)。 |
認定基準の概要
留学のための過程を置く日本語教育機関の認定基準の概要です。
教員及び職員の体制に関する基準
学校の組織や情報公開体制を整備すること、学生数に対する教員数等が決められています。
✅校長(副校長)、主任教員、事務を統括する職員を置くこと ✅情報公開・評価に関する体制、組織的な研修に関する体制を置くこと ✅教員数は収容定員数20人に1人(最低3人) ✅本務等教員数は収容定員数40人に1人(原則最低2人) ※教員はすべて登録日本語教員 |
施設及び設備に関する基準
学校が教育環境に適した場所にあり、適度な広さを有し図書館等の設備を充足することが求められています。
✅校地・校舎の位置・環境が、教育上・保険衛生上適切なこと ✅校地は校舎等に必要な面積があり、原則設置者の自己所有であること ✅校舎は115㎡以上かつ同時に授業を受ける生徒1人当たり2.3㎡以上あること ✅校舎は原則設置者の自己所有であること ✅教室、教員室、事務室、図書室、保健室等を備えること ✅教室の面積は同時に授業を受ける生徒1人当たり1.5㎡で、机、椅子、黒板等を備えること |
日本語教育課程に関する基準
授業の内容、期間、修得させるべき日本語能力等についての基準が定められています。
✅B2以上を目標とする課程を1つ以上置くこと ✅修業期間は原則1年以上 ✅授業期間は原則1年35週、授業時数は1年760単位時間 ✅1週当たりの授業時数は20単位時間以上 ✅授業は原則午前8:00~午後6:00の間 ✅課程の目的・目標、生徒の日本語能力に応じ、適切な授業科目を体系的に開設すること ✅授業科目は、それを担当する能力のある教員により、適切な教材を用いて教授されること ✅聞く、読む、話す(やり取り)、話す(発表)、書くの5つの言語活動を行うこと ✅収容定員数は、新規の場合100人以内、1年経過するごとに1.5倍まで増加可能 ✅特別の事情がない限り収容定員数を超えて生徒を入学させない ✅同時に授業を行う生徒数は原則20人以下 ✅入学者募集の情報提供や、入学者の日本語能力等の確認を適切に行うこと ✅修了要件を適切に定めること |
学習上及び生活上の支援体制
日本語をきちんと修得させることの他日常生活や健康面にも配慮することが求められています。
✅学習の継続が困難な生徒への支援体制を整備すること ✅出席管理体制を整備すること ✅災害等の場合に転学支援等を行う計画策定等を行うこと ✅生活指導担当者の配置や、自治体との連携体制を整備すること ✅年1回以上健康診断を行う体制を整備すること ✅生徒が我が国に適正に在留するための支援体制を整備すること |
以上が日本語学校の認定に関する新基準の概要です。日本語学校を経営する機関は早期に認定を取得したり、教員登録を完了させるべきと考えます。
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