親子が離れ離れに暮らしている典型的な例としては、母国で一度結婚して子供をもうけた後、前の配偶者と死別若しくは離婚して来日後、日本人と再婚して日本で生活してきたが、生活が安定して来たので母国にいる子供を呼び寄せたい、という様なケースだと思います。基本的には、自分の扶養家族にすることを想定している場合が殆どだと思いますが、本人次第で、独力で来日する方法もあります。母国で離れて暮らす子供を日本に呼びよせる方法についてご紹介します。

扶養を前提にする場合

定住者として呼寄せる

日本に居る親と呼ばれる側の子供について、以下の条件を満たす必要があります。

定住者ってどういう資格

呼寄せる親の資格

日本に居る親は以下の資格のいづれかに該当している必要があります。

  • 日本に帰化した者、永住者、特別永住者
  • 在留期間が1年以上の定住者(日系2世・3世及びその配偶者を除く)
  • 日系2世・3世又はその配偶者である定住者(1年以上の期間があること)
  • 在留資格が日本人の配偶者等・永住者の配偶者等であること、もしくは特別永住者、定住者(1年以上)の配偶者

子供の要件

子供は、『未成年』、『未婚』、『実子』である必要があります。

成人年齢は国によってまちまちですので、事前に確認して下さい。18歳としている国が多いですが、ネパールでは16歳ですし、インドネシア等は21歳です。更にはアメリカの様に州ごとに設定年齢が違う国もあります。

『未成年』とあるのですが、概ね15歳を超えると審査が難しくなる傾向があります。

● 理由の一つは、もう少しすれば成年に達して自活能力を持てるようになると考えられること、
● 更に成人年齢近くまで母国で生活できていたという事は、他の庇護者がいたと考えられ、引き続きその庇護者と暮らせないのか

というです。日本だと概ね中学校に上がる位までの年齢がボーダーになって来ます。

養子縁組

配偶者が、日本人、永住者(特別永住者)、定住者(1年以上)で配偶者の合意が得られれば、養子という選択肢もあります。この場合、普通養子と特別養子がに分かれます。注意したいのは、親子という身分関係と在留資格は切り離して考えなければならない事です。養子縁組を申請して親子関係が成立すれば、無条件で日本に呼べると思っている人も多い様ですが、在留資格は別です。

普通養子

配偶者が、

  • 永住者(特別永住者)
  • 定住者(一年以上)
  • 日本人

のいづれかであって、子供が6歳未満、子供が上記のいづれかの者の被扶養者である場合は、子供に定住者の在留資格が与えられます。

特別養子

子供の年齢が6歳以上になると普通養子の縁組は出来ても、在留資格がおりません。この場合15歳未満の場合であれば特別養子という選択肢があります。両者の違いは、生みの親との関係性の違いです。
(☞普通養子と特別養子

ただ、特別養子は時間がかかります。

●外国籍の子供が海外にいる場合、先ず東京家庭裁判所の許可を受ける必要があります。これは申請すればすれば直ぐ許可されるというものではなく、監護期間といって裁判所が養親に相応しいかどうかを6か月間観察します。

●この間、養親と特別養子になる子供は同居していなければなりません。子供は短期滞在で入国してくることになりますが、短期滞在は多くの国の場合90日(3か月)しか認められていません。
(☞短期ビザ

●短期滞在の延長は『やむおえない事情』がある場合は、認めるとされています。この様なケースの場合『やむおえない事情』として認められると思います。

●しかし、家庭裁判所の許可が下り特別養子での親子関係が成立したとして、次のハードルは、日本人の配偶者等を取得するまでの期間をどうするかです。現在(2024年9月現在)日本人の配偶者等は申請から許可まで4か月程度かかっています。しかも『特例期間』を認めないという事ですので、一旦母国に帰って許可が下りるのを待つ等しなければなりません。

●この年齢の子供にとって、一番問題となるのは就学の機会が1年近く奪われてしまうという事でしょう。(日本の公立小中学校の場合、住民票を持たない児童の就業を認めないところが殆どです。住民票の取得のためには在留カードとパスポートを提示する必要があるのですが、短期滞在者には在留カードは交付されませんので、日本の公立学校には通学できません。)

この様な問題点がありますので、特別な事情が無い限り、特別養子は既に国内にいる人向きと言えるでしょう。

留学生として来日する

大学に入学する様な年齢に達していたとしたら、留学というのも一つの方法です。(但し、大学への入学については日本語検定N2以上が要求されたり、専門学校であっても公認された日本語学校で1年以上日本語を学んでいる等の条件が課されます。
日本語能力に係る資料の内容

全く日本語が理解できないのであれば、日本語学校から始めなければならないかも知れません。日本語学校を終えて、大学に進学する時に期間の更新をして在留を続けます。

全く日本語が出来ない人が、来日し日本語を学ぶ場合、日本語学校に2年程度通いN2を取って大学に進学するコースが一般的だと思いますが、大学によっては日本語別科という大学付属の日本語学校を併設しているところもあり、成績次第では1年で大学に進学できる道が開けます。

各大学の日本語別科

この在留資格の留意点は、留学が終了した後も日本に居たい場合は、『家族滞在』や『技・人・国』等に在留資格を変更する必要があります。

家族滞在

家族滞在なら比較的安易に外国にいる子供を日本に呼ぶことが出来ます。家族滞在も親の扶養がある間は良いのですが、親とこれからも日本に住み続けることを考えると、週28時間しか就労できない家族滞在で居続けるわけにもいかないでしょう。

親が永住権を取得したり帰化したり等して、自分も永住者の配偶者等や日本人の配偶者等へ身分を変更する事ができれば、就労の制限がなくなり自身も永住権取得の可能性が出てきます。

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