●渡米していた日本人が、アメリカで伴侶を見つけて帰国する。
●これから二人で日本に住むつもりである。
●旦那さん(もしくは奥さん)の在留資格は日本人の配偶者等を考えている。
こんな場合どんな事に気をつけておくべきでしょうか。
日本国籍の確認
『自分は、日本人だから問題ない』本当にそうでしょうか?米国の市民権等獲得していませんか?
日本は二重国籍を認めていません。アメリカの市民権を取得している場合には、日本国籍は放棄したと見なされます(非自発的要素等例外もありますが、ここでは自発的にとします)。この時点で、日本大使館に届出をして日本のパスポートを返納しておく必要があります。
この届出は、日本大使館から戸籍がある市区町村に連絡され、除籍がなされます。アメリカで米国民になった時は、この手続きをしておかなければならないのですが、案外知らない人が多く帰国する段になって自分が日本人ではない(日本国籍がない)事に気づく人がいます。
こうなりますと、日本国籍の取得からやり直さなければなりません。短期滞在から帰化は出来ませんから、自分自身日本人の配偶者等などから始めなければなりません。その後帰化をして日本人に戻り、それから配偶者の申請をします。全ての処理が終わるまで、2年位かかります。行動を起こす前に、この基本的な部分は先ずしっかり確認して下さい。
アメリカでの結婚手続きの有無
在留資格『配偶者等』を取得するには、アメリカで結婚したという婚姻証明書を出す必要があります。(アメリカでの結婚証明書の取り方は、『国際結婚アメリカ編』をご参照)婚姻届受理証明書で代用できるという意見もありますが、日本でも市区町村によって違う場合があるので、最終形の婚姻証明書まで取得しておいた方が無難です。
※日本人の配偶者等の申請をする場合、外国にいる配偶者を日本に居る夫や妻が呼寄せる場合を想定しているからなのでしょうか、申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 が求められています(入管庁HP)。ですが勿論、日本で結婚の届を出す場合でも問題ありません。
短期滞在からの変更
外国人である配偶者が一緒に日本に短期滞在の在留資格でで入国した後、『日本人の配偶者等』に在留資格の変更申請をする。
これは可能です。しかし、どの位で許可が下りるかです。元日本人等あまり難しくないと考えられる場合でも5か月前後かかっています。6か月位見ておいた方が無難でしょう(2024年現在)。こうした場合
1.短期滞在を1回延長して180日間で待つ
2.韓国等短期滞在ならVISAのいらない国に一時出国し、再入国する
上記の様な方法をネットで推奨しているのを多く見かけますが、各々リスクがある事はご承知おき頂きたいと思います。
1.短期滞在は、1回なら延長可能ですが人道的見地等”やむおえない事情”がある場合とされています。配偶者の場合はこの観点から容認される場合が多い様ですが、6か月で許可されなかった場合のリスクは見ておくべきだと思います。また、アメリカの場合日米間のVISA協定により、原則延長が認められていません。結婚は”やむおえない事情”とみなされる時が多い様ですが、却下されるリスクもある事は頭に入れておくべきです。
2.韓国等へ数日間出国して再入国する。この場合も、短期滞在を短いインターバルで繰り返していると見られた場合、空港で入国拒否されるリスクがあります。
この様に、短期滞在から日本人の配偶者等に切り替えるのは、100%『可能』とは言い難いためお薦めはできません。もし、何らかの特殊事情があるのでしたら、行政書士等に理由書を書いてもらい個別の問題を訴求して審査を早めてもらう様に嘆願した方がベターです(聞き入れてもらえる保証はありませんが)。
生活の目途
日本に帰国するあなたは、日本でどうやって生活して行きますか?
●既にどこかの企業に就職が決まっていて、400万円程度以上の年収が見込めますか(子供がいない場合)?
●あるいは、あなたもしくは配偶者に優れたスキル(資格等)があり、十分な収入を稼げる見込みがありますか?
●当面生活に困らないだけの十分な貯金がありますか?
●上記どれも該当しないとしても、親との同居しや親からの援助が期待できますか?
日本人であるあなたが帰国する事に、日本国はとやかく言いません。でも、配偶者は外国人です。この人については厳しく見ます。日本国の負担にならないか、という観点からあなたの事程寛大には見てくれません。それでも”結婚”には最大限の配慮がなされます。夫婦が離れ離れになる事を極力防ぐため、人道的配慮がなされることが多いです。
余談ですが、ですから偽装結婚には厳しい目が向けられます。歳が離れていたり、出会いが歓楽街であったりするとプライバシーにかなり踏み込んだ詮索をされるのは、人道的配慮を裏切り悪用された苦い経験からです(イレギュラーなケースの結婚)。
申請期間を短縮する方法
結婚証明書が提出できる事が条件ですが、もし日本にあなたの3親等以内の姻族(祖父母、両親、子供、孫、兄弟姉妹、甥・姪等)がおられるならば、彼らに代理で配偶者の『日本人の配偶者等』の申請をしてもらう事が可能です。アメリカで在留資格の許可が下りるまで滞在し、許可が下りてから日本に入国します。これなら、タイムリミットを気にする事なく精神的にも余裕が持てます。
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