国に年老いた親がいるのだが、何とか日本で一緒に暮らせないか?という相談を受けます。親を外国から呼ぶ手立ては、今のところ高度人材にしか道は開かれていません。(70点ありますか?お父さん、お母さんと暮らせますよ!)他の方法は全くないのか?と言うと無いわけではありません。ただし、ハードルは非常に高く困難が伴います。
告知外特定活動
在留資格の一形態に『特定活動(告知特定活動)』が有ります。インターンシップや特定活動46号が該当します。(インターンシップ、外国人も企業もハッピー特定46号)その他には家事使用人等が代表例です。
この告知特定活動の他に今回ご紹介する、年老いた親を健康上の理由から一人で国において置けない等『人道上の理由から』日本での在留が認められることが有ります(告知外特定活動)。
許可要件
定型が無い(告知外)在留資格を法務大臣の”裁”量で許可する訳ですから、満たせば良いという条件は本来ありません。しかし、許可された例を見ると以下の様な場合には認められています。
以下全てに当てはまること。
- 高齢である(概ね70歳以上)
- 配偶者がいないこと(つまり死別等により独り身であること)
- 日本に居る子供以外に扶養者がいないこと(身寄りがいないこと)
- 日本に居る子供には一定の収入があり、納税義務を果たしていること
上記は典型例ですから、個々の事情によって判断は変わって来ます。高齢ではなくても持病があって一人では生活できないとか、親族がいてもよんどころ無い事情で、面倒が見られない等です。個別の特殊事情を医師の診断書であるとか、面倒を見られないきちんとした理由(入管の表現だと”合理的理由”)を文書によって証明出来れば、少なくても審査の俎上には載せてもらえる可能性が高くなります。ただ、病気を理由にした理由のハードルは高くなって来ていて、例えばスリランカ人の場合日本でなくても近隣のインドの大都市に行けば治療が受けられるはずではないのか、と言われたりしてしまいます。
収入の目安
子供を含めた親子3人で300万円程度で暮らしていた場合、親一人が増えた場合プラス70万円で370万円位が目安です。ガイドラインがあるわけではないので、この金額より少なくても例えば都市部よりも暮らし易い地方なら許可になる場合もあるでしょうし、500万円を超えていても本国への仕送り等が嵩んでいる場合は許可されない場合もあるでしょう。
入国方法
告知外特定活動ですから、在留資格認定証明書の交付はありません。まずは、短期滞在で上陸した後に『特定活動』に在留資格を変更することになります。ただ、短期滞在は通常90日しかありませんから3か月で許可が下りなかった場合一度国外に出なければなりません。短期滞在は一度だけなら延長を認められる場合があり、最大180日間日本に居られますが、それでも期間内に許可が下りる保証は無くリスキーです。
就労
もし、特定活動が認められたとしても、親は日本で働くことはできません。あくまでも子供の扶養に入るという事になります。
難しさの根底
冒頭で、『ないことは無い』と表現したのは以上の様な理由によります。実際、申請してみたけれど、先ずは落とされ、理由を聞いて修正して、それでもまた・・・という例が見られます。感じるのは、従来日本は移民を認めず一定期間在留したら自国に帰ってもらう、というスタンスを取っていたため今でも多分に排他的であるという事です。もう一つは、日本の社会保障制度の破綻です。年金制度の維持は難しくなってきています。超高齢社会を迎えて、国の医療費の負担は増加の一途です。余裕が全くありません。ですから、自助努力で何とか凌いでください、ということなんだと思います。そんな事情を乗り越える、『人道上の理由』があれば考慮しますけれど・・・相談をしているとその様に言われている気がしました。
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