安定的な企業に勤めていた人が、設立後間もない会社や規模が小さい会社に転職した場合、転職後も技・人・国が認められて在留期間が更新出来るのか不安です。申請人ご本人の資格該当性の充足は勿論ですが、その企業が安定して申請人を雇用し続けられるのか?と言う事に焦点が当たります。申請時に付けた方が良い補強資料をご紹介します。

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企業が用意する資料

雇用に関する資料

1.雇用契約書

  雇用契約書は、そもそも法令で要求されていることなので必須です。労働条件通知書で
  も代わりになりますが、この場合は入社前の日付である事に注意が必要です。労働条件
  通知書を使う場合は、欄外に雇用予定者の署名を日付入りでいれておくと効果的です。

2.雇用理由書

  これは経営者に書いてもらいます。なぜ、申請人を雇う必要があるのかを訴求します。
  構成としては、


  ①現在の事業内容と今後の展開、
  ②事業の発展に必要な人材補強の必要性、
  ③申請人のスキルの展開、
  ④従事させる業務や育成スケジュール
  というものにすると説得力があります。
  

  雇用理由書は、mustな書類ではありません。しかし、申請書類の中では、事業内容と
  申請人の関係を経営者が自分の言葉で訴えられる唯一の書類です。
  自社が如何にこの新規事業にかけているか、その成功のためには申請人のスキルが
  必要不可欠である事を強くアピールできます。

  時々、『この人を雇いたいがどうしたらいいか?』という相談を受けます。
  必要な仕事が先ずあってそこに必要とする人員を当て当てはめる
  というものがあるべき姿なのですが、個人的に親しいからとかアルバイトで雇って
  みて気に入ったから等、本末が転倒してしまって人を仕事に当て嵌めようとする
  ケースが見受けられます。
  通訳や翻訳に必要な人材だから、と理由付けをされますが、一日8時間が埋まる
  だけの仕事量がありますか? ほんのたまに海外から人が来る時にいれば便利な程度
  では許可はでません。


  グローバル化の推進、国際的な視野の拡大、民間レベルでの国際協力等、まこと
  しやかな理由を付けて来ますが、それ今の御社にとって必要不可欠ですか?と
  突っ込まれます。
  社内に英語を解せる人材がいないので海外業務を遂行するのに多大な時間と費用が
  かかっているとか、現地法人がある、もしくは将来的に現地法人を設置する予定で
  そこに駐在させる人員の育成が必要である、等の御社独自の具体的な理由が必要です。

経営状態に関する資料

1.既に一期を経過した企業の場合

  決算報告書、貸借対照表、損益計算書、販売費および一般管理費内訳表

  決算報告書が黒字である場合は問題ないのですが、赤字である場合には立て直す
  ための事業計画書を添付します。集客計画を中心に拡大策を展開し、事業の継続
  性をアピールします。
  可能であれば、中小企業診断士や公認会計士の診断書等を添付すると効果的です。

2.設立間もない企業の場合

  事業計画書を添付します。もし、融資を受けるために金融機関に事業計画書を出し
  て融資が受けられていれば、それは強い補強資料になります。融資通知書と共に
  添付しましょう。既に事業を開始していて、具体的な取引先がある場合は、取引先
  名を具体的に明記したり、取引実績を明記しておくことも効果的です。

企業の実態と活動状況を説明する資料

1.形式的な書類

  ①履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、②定款、 ③株主名簿(株式会社の場合)
  ④事務所の賃貸借契約書の写しは添付が必須な書類です。

2.活動状況を説明する資料

  1.に加えて企業の実態を証明する書類の添付が求められます。これは自由形式です
  が、写真やチラシ等をふんだんに盛り込み事業に真摯に取り組んでいる様子を
  アピールします。

  ■会社案内、会社のホーム・ページのアドレスとホームページを紙面に印刷したものに
   加えて、

  ✅ レストランの場合であればメニューや店内と屋外の写真、保健所の営業許可証等
  ✅ IT企業であれば、自社が入居する建物の外観、自社名が分かる郵便受けやドアに掲
    げた社名、屋内の写真等

  活動の拠点となる事業所が実在することは、大きなアピールポイントですので、
  その存在を視覚的に訴求します。

組織内における申請人の立場の説明資料

自社の中で、申請人はどのような立場でどんな業務を担当させるのかを説明します。雇用理
由書を書いていますので、雇用理由書でアピールした内容を裏付ける書類になっている必要
があります。

1.組織図

  どこの部署に配属して、どの様な業務を担当するのか

2.事務所内の見取り図と申請人の座席の明示

  事務所全体の見取り図を描きます。申請人の机の場所を明示して、写真も付けパソコン
  や電話等が整備されていて、直ぐにでも業務に取り掛かれる用意が出来ていることを
  説明します。
  技・人・国とは名ばかりで、現業労働に終始している場合には摘発を受けますが、自分
  のデスクがあることを示せることは大きなメリットになり得ます。

3.業務スケジュール表

  日単位、週単位、数か月単位での申請人の業務内容のスケジュール表を作成します。
  技・人・国の条件を満たす業務内容であること、十分な仕事内容があることが明示
  できます。

その他の必要事項

基本的なことですが、前の会社を辞めて14日以内、新しい会社に転職して14日以内に
届出を出していますか?意外と実行していない人が多いです。必ずしておくべきですが、
14日を大幅に過ぎてしまっていたとしてもやっておくべき手続きです。電子届も用意さ
れていますので手軽にできます。

出入国在留管理庁電子届出システム

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  047-400-8011、080-4000-3580(携帯)
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