不法就労の外国人を雇用する事業者には、不法就労助長罪が課せられます。外国人労働者の増加と共に、『不法就労』も増え、同時に雇用者側の責任が問われる『不法就労助長罪』も広く知られるようになって来ました。オーバーステイしている人を雇わなければ、問題ないと考えている事業者も多いです。しかし、この様に表面的な単純なものだけではなく、在留資格外の業務をさせるとか決められた労働時間以上に就労させることも、不法労働助長罪に問われます。パスポートや在留カードを確認しなかった等の場合は、事業主に過失があるとされます。不法就労助長罪を犯すと、懲役や多額の罰金が科されます。

● 外国人の適正雇用について(警視庁)

不法就労の防止について(厚生労働省)

不法就労は許されない
不法就労は厳しく追及される

不法就労助長罪

不法就労助長罪とは

 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

➋ 外国人に不法就労活動をさせるために、彼らを自分の支配下に置いた者

➌ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は❷に関し斡旋した者

となっています、❷や➌は最初から犯罪であることが、分かってやっているブローカー等の類なので論外ですが、➊は、最初の注意を怠った(若しくは知らなかった)ために、不法就労助長罪を犯している意識が無い場合が多いので注意が必要です。

罰則

● 3年以下の懲役または300万円以下の罰金のいづれか、または、両方が課せられます。

不注意によりオーバーステイである人を雇用したり、知識がないために資格外の活動をさせてしまったという程度では、いきなり逮捕や重い罰金が科される可能性は低いと思います。それでも、書類送検をされたり事情聴取を受けるために警察や入管に出頭しなくてはならない場合も出てきます。

不法就労に該当する事例

許可されていない在留資格での就労

事例

建設現場の作業員や自動車修理工場の求職に外国人が応募してきました。面接をしてみるとコミュニケーションに問題は無く、人手不足の折、是非とも採用したいところです。
でも、在留カードを確認してみてください。在留資格が、技・人・国や活動内容が制限されている技能になっていませんか?

この様な場合、外国人は在留資格変更をして在留資格を技・人・国から特定技能に変更しなくては、就労させられません。在留資格の変更が完了する前に就労させると、不法就労助長罪に該当します。

それと、在留資格は一人一資格です。同時に複数の資格を持つ事はできません。上記の場合ですと、特定技能の資格を取得した段階で技・人・国資格を失います。再度、技・人・国で働きたい時は、技・人・国を取り直さなければなりません。

留学生アルバイトと資格外活動

在留資格『留学』の場合、在留カードの真ん中に『就労不可』と記されています。ですから、原則アルバイトでも働くことはできません。しかし、許可を得れば働くことが出来ます。この場合在留カードの裏面に、『許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く』というスタンプが押してあります。この場合は雇用しても良いのですが、守らなければならないルールがあります。

在留カードの見方

28時間/週の厳守

まず、28時間/週を厳格に守らなければなりません。これは、どこから測っても28時間という事です。第1日目から第7日でも、第3日から数えて第9日まででも全て28時間以内であることが求められます。但し、夏休み等学校が長期休暇中の場合は1日8時間まで就労させることが出来ます。
また、休学中は資格外活動は認められませんので注意が必要です。

※家族滞在、特定活動も資格外活動で働けますが、28時間/週のみです。留学生の様に長期休暇間は、特別長く就業させることが出来るような特別措置はありません。

風俗営業をしている店舗での勤務

『風俗営業等の従事を除く』と明記されていますので、『接待』等を伴う風俗店に、ホストやホステスで雇用する事は、ダメだという事は容易に分かる事ですが、その他にも、その業務が調理や清掃など直接風俗営業と関係ない場合でも、就業場所が風俗営業をしているとダメです。

不法就労助長罪に陥らないために

不法就労助長罪は、外国人を雇用する事業主にとって、とても重罪です。意図しない過失であっても、その後の外国人雇用に支障をきたしてしまいます。パスポートや在留カードを確認しておけば、最低限の確認はしたと言えます。

基本書類の確認

● パスポート・・・写真を見て本人である事、有効期限が切れていないこと、を確認

● 在留カード・・・有効であることを確認する。問い合わせ-moji.go.jpで在留カードが有効であるかどうかが確認できる。
          在留資格をみて、自社で求人しようとしている職種に当てはまるかどうか確認する。

最低限この2つで身分確認をしておけば、『過失』は問われないと考えます。

職種に応じた関係書類の確認

● 大学の卒業証書・・・技・人・国で雇うのであれば、大学・大学院の卒業証書(経験10年で雇うのであれば、経歴書と裏付ける書類)

● 技能を証明する書類・・・調理人免許など

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