行政書士の仕事を始める前は、日本に住むのなら、帰化をして日本人になった方が何かと便利ではないのか?と考えていました。しかし、アイデンティーや母国の国籍に対する問題等から、永住を選択する人も多くいることが分かりました。配偶者が日本人や永住者である場合、その妻や夫または子供の永住申請には優遇措置が与えられています。

1.優遇措置

永住を申請する場合は、①素行善良要件、②独立生計維持要件、③国益合致要件が求められますが、日本人、永住者の配偶者等①と②が不要になります。ただ、後述しますが犯罪に関する考え方は、国益合致要件の中に著しく公益を害する行為を恐れがないと認められるこというものがあり犯罪や違法行為についての考え方があるので、実質的には②のみと考えておくべきかと思います。

2.原則10年在留の特例

永住申請には、引き続き10年以上日本に住んでいる事という条件があります。しかし、日本人や永住者の配偶者等の場合は、以下の様な特例が認められています。

日本人、永住者の配偶者実態を伴った婚姻生活3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に住んでいること。
日本人、永住者の実子または特別養子1年以上日本に引き続き住んでいること。

配偶者枠の場合、次のいづれかになります。

①海外で結婚して2年後に日本で住み始め1年経過した。
②日本で結婚して3年が経過した。

例えば、技・人・知で5年滞在していても、一般枠ならば最低でもう5年必要ですが、配偶者枠なら結婚後3年で申請基準に達します。
また、結婚時に日本人の配偶者等に在留資格を変更する必要もありません。注意したいのは普通養子の場合で、特例は適用されず引き続き10年以上日本に住んでいることが求められます。

ちょっと注意!

外国籍の人が短期滞在で入国して、日本で婚姻届け出して日本人の配偶者等の在留資格を取得し、永住申請迄つなげてしまおうという事例がありました。法的には可能ですが、いくつか気をつけておいて頂きたい事が有ります。

1)短期滞在中に日本人の配偶者等が認められるのは難しい

短期滞在での滞在可能日数は、殆どの国の場合90日です。しかし、最近入管は非常に混んでおり簡単なケースでも許可まで4か月以上かかっています。短期滞在の延長は、『やむおえない事情』があれば更に90日延長が可能ですし、韓国等に出国すれば再度90日滞在できますが、認められないケースもありますので注意が必要です。

ビザ免除国・地域(短期滞

2)日本人の配偶者等が許可されない

犯罪歴があったとか、生計基準が満たされなかったということが想定されますが、許可が下りない例もあります外国での犯罪歴や不法滞在等は日本の入管は関知しないと思っているのかも知れないのですが、身に覚えがある人は申請前に対策を立てておく方が無難です。

  

3.その他の国益合致要件

公的義務を履行している会社員の場合
 住民税、国民健康保険料、国民年金を納期を守り納めていること(源泉徴収なら問題ない)
会社経営者の場合
・会社としての税金(法人税、事業税、消費税、法人都道府県税、市区町村民税等)と個人として 
 の税金(住民税や所得税等)
・各種保険への適用と履行(健康保険、厚生年金、雇用保険、労働保険等に加入していて納期通り 
 に払っていること)
納期を守れなかった時の対策
 永住申請をする直近の2年間納期を守って支払いをした実績を作る。理由書に守れなかった理 
 由、反省、対策を書く
会社で各種保険に適用していない場合
 早急に適応手続きをして2年間の支払い実績を作る
現に有している在留資格について最長の在留資格で在留している該当する在留資格の最長が5年であれば、5年をもっていれば申し分ないが、3年でも可
公衆衛生上有害ではないこと一類感染症、二類感染症、指定感染症、新感染症の羅患者でないこと。麻薬、大麻、覚せい剤の中毒患者ではないこと
著しく公益を害するおそれがないと認められること①日本国の法令に違反して、懲役・禁錮または罰金に処せられたことがないこと
 該当する場合:懲役と禁錮は出所後10年を経過した後、執行猶予は猶予期間が満了してから
  5年経過後、罰金・拘留・科料は支払い終えてから5年経過後まで待つ
②日常又は社会生活において違法行為または風紀を乱す行為を繰り返して行っていない事
 駐車違反や携帯電話使用義務違反等の軽微な違反でも繰り返ししていない。直近2年で2回が限度。飲酒運転や無免許運転は軽微な違反ではないので1回でも不可。
③少年法による保護処分が継続中の者
 保護処分が継続中の者や保護観察がつけられていないこと

非課税と独立生計維持要件:1.の優遇措置で独立生計維持要件は免除されると書きました。収入が低くて非課税の場合でもこの免除要件は適用されるのか?

というとそうはならない様です。実態として300万円以上(扶養一人当たり70万円づつ加算)ないと不許可にされる可能性が高い様です。ですので、非課税ですと不許可にされる可能性がとても高いと考えるべきだと思います。独立生計維持要件は問わないとしながらも、余りにも収入が低い場合は国益に適合しないという判断なのでしょう。

4.身元保証人がいること

日本人か、永住者で安定した収入があり納税をきちんとしている人でなければなりません。今回の場合、日配や永住者の配偶者等で話しているので、日配の場合は日本人の配偶者か配偶者の親ですし、配偶者が永住者の場合は永住者である配偶者か上記に該当する人にお願いする事になります。注意したいのは、配偶者が条件を満たしているのにサインしない場合です。

なぜ?と必ず聞かれます。1.で実態を伴った婚姻生活であることが挙げられていますので、サインをしないことで婚姻生活の実態が疑われてしまいます。

5.その他永住申請時の注意点

オンライン申請は出来ない

在留資格申請等はほとんどオンライン申請が出来るようになりましたが、永住の申請はオンライン申請ができません。

・16歳未満の子供の写真は貼らない。

貼ってあると剝がすように指導されます。

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