経営・管理ビザの前提となる会社設立と各段階で注意するポイントをまとめました。

会社設立の流れ

会社を設立するためには、先ず定款を作成します。次に資本金を振込みます。最後に登記をして完了です。

株式会社か合同会社か

株式会社か合同会社での設立が大半だと思います。比較してみると以下の様です。株式会社は、基本的に議決権は1株に付1つで、配当もそれに倣います。合同会社は、自由に決めることが出来ます。例えば、出資比率が1:3であっても、利益の分配を3:1にすることが可能です。スタートアップ企業を応援する、エンジェル投資家が若い起業家を応援する時などに見られます。将来的に増資をして会社を大きくしたいのであれば、株式会社が向いていますし、気心が知れた仲間と会社を経営して行きたいのであれば合同会社が適当です。一般に株式会社=大会社、合同会社=小さな会社のイメージがありますが、Apple・Japan、西友なども合同会社です。設立の目的を考えて選択してください。

小さな会社を設立する時の”べからず”5つ

株式会社合同会社
会社代表と出資者との関係会社代表者は出資者でなくてもよい出資者が会社を代表する
出資権の譲渡事由に株式を譲渡できる他の社員の承諾が必要
出資者個人でも法人でも可能個人のみ
意思決定株主総会(多数決)全員一致
設立時実費20万円6万円
知名度高い低い

定款の作成

定款原案の作成

定款には、1.事業目的 2.会社名 3.会社の住所 4.資本金額 5.代表取締役と出資者の決定 6.取締役の任期7.事業年度を盛り込みます。事業目的の書き方には注意が必要です。会社名の付け方にもルールがあります。会社の住所は自宅にしたのでは、経営・管理VISAが許可されません。(この項は別記事で詳しく述べたいと思います。)

資本金は、経営・管理ビザを取りたい人が、原則一人で500万円以上出資する必要があります。資本金が1000万円未満の場合は、2年間原則として消費税が免除になります。

定款の認証

株式会社の場合は、公証役場で公証人に定款を認証してもらう必要があります。定款認定手数料は、資本金の額によって100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満は4万円、それ以外は5万円かかります。この他に印紙税が4万円かかりますが、電子定款を使うと印紙税がかかりません。合同会社は定款は作らなければなりませんが、認証をしてもらう必要はありませんので、定款認定手数料は不要です。(印紙税は必要で、電子定款なら印紙税はかからない。)

定款認証

資本金の払い込み

定款が出来たら資本金を払い込むのですが、発起人の個人口座に振込みます。外国人の方にとってはここが第一の関門ではないでしょうか。日本国内にある金融機関に口座が無ければならないのですが、もし発起人が日本に居住していないと金融機関はなかなか口座の開設に応じてくれません。(この点は、経営・管理ビザの取得だったとしても、4か月の短期滞在では良いあ結果は得られないです。)

 日本に口座を持つ人を発起人に入れるか
 日本に支店を持つ海外の金融機関に口座を持っている

いずれかが必要です。なお、発起人もしくは設立時取締役の全員が日本国内に住所がない場合は、特例として発起人もしくは 設立時取締役でない者の口座が使えますが、いずれにしても日本国内に協力してもらえる人が必要になります。

登記をする

登記は、司法書士しかできません。司法書士に頼まない場合は自分で申請することになります。登記申請書を作成し、定款謄本と資本金の払い込み証明書をつけて法務局に申請します。約1週間で登記が完了します。

会社の設立日は申請日になります。

登記にかかる費用

登記をする時にかかる費用は、以下の様です。

定款謄本取得料                \250/ページ  全部で¥2000程度
法務局に申請する時にかかる費用 (株式会社) 資本金の1000分の7 (15万円未満なら15万円かかる)
法務局に申請する時にかかる費用 (合同会社) 資本金の1000分の7 (6万円未満なら6万円かかる)
※登記完了後に定款の内容を追加したり削除する場合は登録免許税が3万円かかります。
  

払い込んだ資本金は、登記が完了したら自由に使えます。

必要な書類と印鑑

1.役員全員が日本に居住している場合の必要書類
① 日本の印鑑証明2通 ②個人の実印 ③これから作る会社の実印

2.役員の中に海外居住者がいる場合
①海外居住が中国人の場合:本国発行の印鑑公証(翻訳文付き)、台湾人の場合:印鑑証明書、韓国人の場合:印鑑証明書
それ以外の国の場合は本国発行のサイン証明書
②日本在住の役員は、日本人、外国人の別を問わず日本の印鑑証明書
③これから作る会社の実印

税務署への届

ここも税理士に頼むか申請人本人が行います。以下の届出は経営・管理ビザの申請時に控えを添付することが求められます。

・法人設立届
・給与支払事務所棟の開設届
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

許認可の取得

中古車の輸出販売をするなら、古物商の許可が必要ですし飲食店なら保健所の許可が必要です。

経営管理ビザの申請

会社を設立して、必要な許認可を取ってから経営・管理ビザの申請が出来ます。

※会社を運営して行くためには、年金事務所・ハローワーク・労働基準監督署へ各種届出 が必要ですが、経営・管理ビザ取得の観点からは直接的な関係はありません。

日本に会社を作り、経営・管理ビザを取得するには気をつけなければならない事がたくさんあります。時間や資金を無駄にしない様に事前に良く調べてから行動することをお薦めします。

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