1.永住権取得の優位性

日本をベースに生活する外国人の方にとって、永住権はとても便利な在留資格です。他の在留資格と比べた場合のメリットは、

一度取得できれば、更新の必要がない
 更新手続きの度に入管に出向く必要がなくなります。(但し、在留カードの有効
 期限は7年ですので、在留カードは7年毎に更新する必要があります。)
就労制限がなくなる
 公務員など一部就けない職業はありますが、ほぼ全て日本人と同じ職業に就けます。
失業や離婚をしても在留資格が失われない
 失業や離婚をしても、日本から出て行かなければならないという心配がなくなりますので、時間的な制限なく安心して将来設計が考えられます。
日本社会において信用度が上がる
 ローンが組みやすくなります
配偶者や子供の永住申請が楽になる

以上が主なものです。“準日本人”の地位が得られ通常の生活には大きな制約は無いように見受けられます。ただ、時々帰化と永住権を混同している人を見受けます。帰化は、日本国籍を得て日本人になる事(母国の国籍は維持できません)なのに対し、永住は、“外国人のまま”です。パスポートは取れませんし、選挙権もありませんが母国籍は維持できます。

2.永住権取得の要件

永住権の申請には、3つの要件が必要です。(素行善良要件、独立生計要件、国益合致要件、詳細は『永住権を申請する時の素行善行要件と交通違反について』参照ください。)この国益合致要件(その人の永住が日本国の利益に合致すると

認められること)のア)号に、

原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

引き続き1年の内の大半を日本で生活しているという事を指します。年間で100日以上日本から離れた年が1年でもある場合は、厳しくみられます。
10年以上最低10年日本に住んでいる必要があります。
就労資格または居住資格で5年10年間の居住の内、5年間は働いている必要があります。留学VISAで6年在留し、就職して4年経ってもこの条件はみたされません。

端的に言うと、『日本に最低10年住んでいて5年間は働いている』必要があります。これが原則なのですが、特例が8つほど設けられています。8つのうち特に適応事例が多いと考えられる5つの場合をご紹介します。

  1. 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合で、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
  2. 「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留していること
  3. 高度専門職ポイント70点以上で3年以上日本に在留にしていること
  4. 高度専門職ポイント80点以上で1年以上日本に在留にしていること
  5. J-Skip対象者で1年以上日本に在留していること

1.の場合、配偶者が日本人だと海外で結婚し2年間海外で生活していても、来日し1年経てば申請できます。単身だと10年かかる期間が1年に短縮できるわけですから、かなりのお得感があります。2.の定住者は10年が5年に短縮される上就労要件は必須ではありません(独立生計要件は求められますが)。3.4.5は高度専門職及び高度人材です。

3.永住許可率の推移・・・最近は増加傾向である

永住申請については、2019年にガイドラインが改定され、

①収入の証明が3年分から5年分必要になった。
②国民年金や国民保険の加入状況も審査対象とすることになった。

ことにより、審査が厳格化されました。2015年に70%を超えていた許可率も 
2017年から2021年までは50%台で推移し、特に2019年にガイドラインが厳格化された翌年は、約50%にまで落ち込みました。しかし、一昨年から増加傾向にあり昨年は5年ぶりに約65%となり、2023年も7月現在で65%を超える水準になっています。永住権の獲得は、ハードルが高い上に時間もかかります。安易な考えからはすべきではありませんが、永住を真面目に希望する方にとっては、最近の傾向は明るい展望と言えると思います。

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