2023年の統計になりますが、日本には322万4千人余の外国人が在留しています。中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル籍の人達で全体の約70%を占めますが、その中でもベトナム人の躍進が目立ちます。グラフが示す様に10年前には、10万人にも満たなかったのに、今では韓国を抜き52万人に達しています。
出典:出入国管理庁
目次
技能実習生の半分以上を占めるベトナム人
技能実習生は、約35万8千人に上りますが、そのうち18万6千人がベトナム人です。技能実習生全体の52%を占めます。
かつて技能実習生は中国人が多かったのですが、SAARSの蔓延により中国人の往来が減少した事や中国国内の賃金の上昇により、より安価で勤勉さも日本人に歓迎されるベトナム人が台頭してきました。また、賃金の格差から日本に来れば大きな収入が得られる事もベトナム人を日本に引き付ける大きな理由だと考えられます。
- ベトナム(ハノイ) での平均的な月収は $250程度です。
現在猛烈な円安ですが、それでもドルベースなら$1300前後になりますから格段の違いです。
送り出し機関の役割
送り出し国側の政府の出先機関としての役割
ベトナム人が、海外で働くためには『ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局』(DOLAB)の推薦状(許可証)を取る必要があります。この推薦状には、
- 公認された送り出し機関
- 日本の受入れ監理団体(※一部大手企業等の企業受入れ型は不要)
- 日本の受入れ企業
- 日本に行く人の明細
が記されています。推薦状の入手には公認された送り出し機関の存在が不可欠です。日本側の監理団体がベトナム現地の送り出し機関と契約を結び、監理団体は日本の企業と契約を結んで実習生を受け入れるというパターンが多くみられるケースです。
日本語教育を担う機関としての役割
多くの送り出し機関は、日本語教育も実施しています。教育期間は、大体半年程度です。特定技能と違い日本語のレベルチェックは在留資格の要件になっていませんが、日本に来て周りの人と意思疎通が図れるN5を目指します。
1号実習生の場合、実習期間中の1/6以上を ①日本語の修得 ②日本での生活一般に関する知識 ③法的保護講習 ④日本での円滑な技能等の修得等に資する知識
の座学に充てなければなりませんが、入国前に一か月以上かつ160時間以上の入国前講習をしていれば、これが1/12に短縮できます。
技能実習生が負って来る借金
ベトナム人技能実習生が、来日の際に負っている借金が問題になっています。日本円にすると55万円~75万円程度になります。上記の平均月収で見ると最大1.5年分ですから、日本人の感覚だと600万円という感じになるのでしょうか。とても大金です。内訳は以下の様です。
- 送り出し機関への納付金:実習生は、最大で$3,600を送り出し機関に納めます。送り出し機関はこれを政府に納付します。政府の外貨収入の一環の様な側面があり、借金の大部分が政府がらみである事に得心が行かない部分もありますが、他の東南アジアの国も同様のシステムを採っているところが見られます。
- 教育費:送り出し機関での6か月程度の教育費です。15万円程度です。
- 航空代:5万円程度。
政府への納付金や、各送り出し機関での教育費に幅がありますので、開きが大きくなってしまう様です。彼らは、この金額を親類縁者の伝手を使ってそれこそかき集めて来ます。日本人にとっては、2~3万円でも彼らにとっては平均月収の半月分にも相当します。時々ベトナム人の失踪が話題になりますが、少しでも高い給与を求めての事で違法な事ではありますが、心情的には理解できなくもありません。
技能実習計画の提出と承認
呼ぶ人が決まったら、外国人技能実習機構に技能実習計画の申請をして許可をもらいます。提出しなければならい資料が多岐に亘りますが、ここは監理団体が担当してくれます。
●(技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表(団体監理型)
受け入れ企業がしなければならない事
監理団体が計画書を出す時までに、受け入れ企業は以下を整えておかなければなりません。
1.技能実習責任者の講習証明書
技能実習責任者講習を受けて受講証を入手しておく必要があります
●(技能実習責任者等講習)
※筆者もこの講習を受けました。国の委託を受けての講習なので大変厳しいです。2時間1コマで4コマあります。途中居眠り等をしていると退室を命じられます(再受講は出来ません)。講義中にトイレ等で退席するとその時間を計測されて、時間外補講が課されます。講義の終わりに試験があり7割できないと再受験になります。
2.技能実習指導員・生活指導員の選定
3.実習生の宿泊施設の選定
会社で寮を用意していない場合は、市井の賃貸アパート等を借りる事になりますが、ごみ出しのルール、生活
習慣の違い等から難しい場合が多い様です。普段から不動産屋さんと懇意にしておく他、入居する実習生にも
日本ルールを良く教えておく必要があります。
4.その他
建設業でしたら、建設キャリアアップシステム(CCUS)のシステムIDを取得しておく必要があります
●(☞CCUSについて)。
5.賃金について
技能実習生にせよ特定技能者にせよ、『同じ職種、経験年数を有する日本人と同等の賃金』である必要があります。監理団体や支援機関に支払うランニングコストや毎年更新しなければならない在留手続きのコストを考えると、日本人より割高になる面は否めません。しかし、それでも注文はあるのに人手が無くて黒字倒産するのと、僅かな金額を惜しむのとどちらを選びますか?という事になります。待遇が悪い会社には人は来ません。
入管業務
外国人技能実習機構から技能実習計画が認可されたら、在留資格認定証明書交付申請をします。監理団体が担当する事が殆どです。この出入国管理庁への申請が出来るのは、この場合監理団体、企業、行政書士・弁護士です。今は、オンライン申請もできますから実際に出向かなくてもパソコンがあればできます。大体1か月程度で許可通知が来ます。
来日
在留資格の認定がおりたら、それを現地の送り出し機関(もしくは個人)に送ります。各人が在ベトナム日本大使館や領事館に行って、VISA(査証)を受けます。VISAが下りたら来日できます。
入国後法定講習
約1か月入国後、技能実習生は法定講習を受けます。主な内容は
1.日本語研修
2.生活一般
3.技能実習の事前知識の修得
4.法的保護
です。
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