帰化は通常1年もかかるロング・ランの申請です。要件が決められているので、それに合致しなければ許可されることはありません。許可が下りるか下りないかは、入口でほぼ決まります。『何とか頑張ってみます。』とか『帰化したいという熱意があれば大丈夫。』なんていう人を時々見かけますが、頑張って何が変わるの?と思ってしまします。今回は、帰化申請がはねられてしまう例をご紹介していきたいと思います。帰化には、普通帰化簡易帰化がありますが、今回は一般的な普通帰化でご説明します。

1.居住要件

引き続き5年以上日本に住所があり、直近3年就労していることが必要です。なお、住んでいる期間は適法な在留資格を有していなければなりません。
1回3か月もしくはトータル100日でリセットされ引き続きとはみなされなくなります。『引き続き』にはずっととか途切れることなくということが期待されています。里帰り出産で日本を離れるとか社命で長期日本を離れなければならない等自分の意志ではない理由で離日を余儀なくされる場合もあると思いますが、この様な場合でも基本的にはこの原則で考えられてしまいます。帰化を視野に入れているのであれば、この点はよく考えてください。なお、以下に該当する方は期間が緩和されます。

    (例)
       日本生まれの方         :3年
       日本人の配偶者で婚姻から3年未満:3年
       日本人の配偶者で婚姻から3年以上:1年
       日本人の子(養子を除きます。) :期間の制限なし

2.能力要件

18歳以上で本国の法制でも成人に達していることが必要です。未成年の場合は親と一緒に帰化をすれば18際に達していなくても可能です。

3.素行要件

素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無・態様、納税状況、社会への迷惑の有無等を総合的
に考慮し、社会通念に照らして判断されます。


  交通違反:
  軽微な違反(駐車違反等)の場合は、直近2年で2回までが限度。重大な違反、飲酒、人身、免許停止(累積含む)、
   罰金等(反則金ではない)がある場合は5年後
  犯罪 :
  罰金刑は払い終わってから。
・執行猶予が明けてから5年経過実刑を受けていると難しい場合が多いが、最低10年以上経ってからの申請にする。
・在留特別許可を受けたら15年。配偶者も受けていれば+8年(合計23年)。
その他 :
・不法就労助長罪で摘発された会社に勤めている(いた)場合は不許可にされる可能性が高い。
   就労系からの帰化は、仕事内容に注意。技・人・国の在留資格だったのに、単純労働をしていなかったか等職場確認
ある場合あり。

4.生計要件

収入に困窮することなく、日本で生活していけることが必要です。生計を一にする親族単位で判断されますので、本人が無収入
であっても、配偶者その他の親族の資産・技能で生活できれば支障ありません。

  社会保険 : ・国民年金を期限内に払っていない(8月30日の納付期限ものが9月1日になったらダメ)。国民年金の遡りは不可。
         過去の滞納分をまとめて払っても意味がないです。
        ・年金の学生納付特例の免除は可(就職後キチンと払っていればいい)だが、通常の免除申請が通っている人は
         原則不可(年収が低くて免除してもらっている人・・年金が払えないぐらい生活が困窮している人)。
追納しても不可)

 注意)国民健康保険は基本関係ないが、(法務局が帰化申請の際に提出を求める書類の中には国民健康保険料の納付証明は含まれ
    ていない)昨年(2022年)から、保険証のコピーも提出を要求されるため審査基準に入ったと考えておいた方がいい。

 ■経営管理特有の注意点: ・会社として社会保険に加入していること。厚生年金は遡り不可(社員分を含む)。払っていな
               かったら実績をつけて丸3年後に申請する。
              ・決算書黒字3年連続(営業利益で)
               ※最終利益ではなくて、営業利益が黒字であること。(雑収入、最近は助成金で最終利益を出
                している例もあり不可)

5.重国籍防止要件

無国籍であるか、帰化によって本国の国籍を喪失することが必要です。本人の意思によって本国の国籍を喪失できない場合については、この要件を満たしていなくても帰化が許可される場合があります。以下の国々の方は、注意が必要です。

ニュージーランド     :外国の国籍を取得した後でなければ自国籍の喪失を認めない。
ベルギー、インド、ブラジル:未成年者の国籍離脱を認めていない

韓国籍の場合は兵役の問題もありますし、相続(特に不動産)に関してその国の法律もあります。国籍離脱については、事前によく調べることをお薦めします。

6.憲法遵守要件

 日本政府を暴力で破壊することを企て又は主張する者、あるいはそうした団体の結成又は加入している者は帰化が許可されません。
 

※ 日本語能力

日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話・読み書き)を有している必要があります。なお、帰化手続において、必要な書類等の案内は日本語で行います。帰化の場合、なぜ帰化を希望するのかを動機書に書いて提出しますが、これは自筆が求められます。A4位枚程度です。日本語の言い回しや文法が見られます。これが問題だと、その後面接により再度日本語能力が試されますので、会話は問題ないが作文は苦手という方は、提出前に誰かにチェックしてもらった方がいいと思います。

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