ここ数年永住権が取りにくくなったと言われています。帰化よりも難しいと言われています。加えて最近は、税金の未納者の永住権の取り消しが審議され始めるなど、永住権取得へのハードルは上がる一方です。勿論、永住の申請を始めとして在留申請には裏口的な方法など無いのですが、それでも画一的な視点を変えてもらえるのであれば、自分の事情等は訴求した方が良いと思います。今回は、NGな事由でもこんな補強資料や理由書を付ければ、考慮してもらえる余地があるという観点から、少しでも許可率を上げるための方法をご紹介したいと思います。
永住許可のガイドラインについては、こちらをご覧ください。☞経営・管理から永住申請する特の注意点、
目次
最近の永住許可率の傾向
永住許可は、2017年から厳しくなりました。
2015年には70%を超えていた許可率は2017年以降年々下がり続け以降数年間は50%台という低い水準になっていました。
2022年から急回復し始め、この傾向は2024年に入っても続いています。2月には4148人の申請に対して2924人が許可されており、許可率は70.5%になりました。
審査基準が変わったのか、それとも永住許可が厳格化している傾向から、不許可の可能性が高い人達が申請を敬遠したからなのかは分かりませんが、日本で真面目に生活してきた人達にとっては、明るいニュースだと思います。
しかし、それでも3人に1人は永住申請がとおりません。永住許可の申請には慎重な対策が必要です。
その1、年間の日本での居住日数が少ない時の対策
『原則として引き続き10年以上日本に在留していること。』☞永住許可に関するガイドラインという規定があります。この『引き続き』に外れる例として、
● 年間100日以上離日している。
● 1回の出国が3か月以上ある。
会社命令による長期出張や、出産などによる一時帰国の場合でも原則認めてもらえません。杓子定規すぎる感じを受けますが、この辺りも永住許可が取り難い一つの原因なのだと思います。
対策:日本に生活基盤がありることの証明書類を付けて理由書で説明します。生活基盤が日本にあることの説明として、家などの不動産を所有している、子供が日本の学校に通っている、多額の預貯金を日本の銀行に持っている等を理由にして、登記簿謄本、在学証明書、通帳の写し等をエビデンスとしてつけます。
外国人の奥さんでしたが、町内会の役員をしていて祭りや生け花の文化サークルに参加している写真を付けたことで、『日本に馴染んでいる』と評価された例もあります。
その2、健康診断を受ける必要性
『公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。』(同ガイドライン)というものも国益合致要件の中にあります。
AIDSは、相変わらず難病ですがあまり話題に上らなくなりました。代わって、コロナ禍以降日本では梅毒がクローズアップされて来ています。日本ではほとんど根絶したか、と思われていた病気ですが最近都市部を中心に感染者数が急増しています。健康体であるということ自体医療費を使わなくて済む、イコール国益に合致するという評価が受けられます。持病が無いと言うことが大きなアピール・ポイントになります。健康診断を積極的に受けましょう。
その3、税金に対する心構え
永住申請をする上では、どの項目も等しく重要なのですが税金の審査は特に厳格に見られます。支払っていることは、当たり前なのですが納期通りに支払われていることが、重要です。怠慢による遅延は論外ですが、冠婚葬祭などのよんどころのない事情でも言い訳がききません。もし、納期通りに収められなかった時があった場合の対策としては、きちんと納税した後2年間納期通りに支払ってまじめな納税者であることを証明します。
会社員の場合
● 住民税・・・5年分必要です。5年間の全期間に亘って納期通りの納税が求められます。
● 国民健康保険・・・3年分。同居家族の分も必要です。
● 厚生年金保険料(もしくは国民年金)・・・2年分
経営者の場合
● 貸借対照表、損益計算書、全部事項証明書・・・赤字が2期以上続いていたり、黒字でも債務超過だと難しいです。
役員報酬が300万円以上確保出来ていないと難しいです。
● 法人税、事業税、消費税。法人都道府県税、市区町村民税
● 社会保険料の納付(厚生年金、健康保険、雇用保険、労働保険など)
注意事項!! 法人経営ならば、従業員を雇用していなくても各保険に加入していなければならない です。
個人事業主でも常勤の従業員を5人以上雇用していれば加入義務があります。
その4、法規違反をリカバリーさせるための必要経過年数
法規違反を犯してしまったからといって、永住申請を諦めることはありませんが、決められた期間が過ぎるまで申請できません。
● 懲役、禁錮を受けたことがある場合・・・服役を終えてから10年の経過が必要
● 執行猶予判決を受けた場合・・・執行猶予期間が終了してから5年の経過が必要
● 交通法規に永住申請までの5年間で3度以上違反している場合・・・最後の違反から2年程度
その5、家族に関する注意
ご本人の永住申請でも、家族全体が見られています。
● 家族滞在や留学の資格で在留していてアルバイトなどをしている場合、その人は資格外活動の申請をしていますか?
● 28時間/週を守っていますか?
入管は、様々な資料を持っています。2か所で働いていた人が、28時間の原則を守っておらず、名寄せされて違反が露見したという事例があります。決して侮らないことです。
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