改めて言うまでもありませんが、建設業での人手不足は本当に深刻です。外国人労働者への依存を年々大きくしています。2024年3月に発表された特定技能の受入れ予定人数は、向こう5年間で82万人に達しました。このうち建設業関連は18万人で、19年から23年の5年間の計画者人数の6万人の3倍にも達します。建設業者にとって、外国人労働者の確保は重要な経営課題になりつつありますが、特に建設業で外国人労働者を雇用するには、色々なハードルがあります。今回は外国人労働者を雇用する場合登録が必須なCCUSに焦点を当てます。
建設会社でベトナム人を特定技能で雇用する時の注意点の中で、CCUS(建設キャリアアップシステム)に登録していないと外国人を雇用出来ないことを書きました。CCUSが導入される様になった背景とこのシステムがどのように建設業界の問題の解決に寄与するのかをご紹介したいと思います。
CCUS登録がなぜ必須か?
特定技能で外国人を雇用する際に在留資格の申請をしなければなりませんが、申請時の必要書類の一つに建設特定技能受入計画認定証があります。この建設特定技能受入認定を取得するために、建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者IDを確認する書類が必要になります。建設業で技能実習生を受け入れる場合にも類似のシステムがあり、やはり未登録では受入れが出来ません。
- 事業者ID
- 技能者ID
この2つを取得しておく必要があります。
現場でのイメージは、上の写真の様になります。朝の出勤時、夕方の退勤時にIDカードをスキャナーにかざします。労働時間が記録されます。また、その現場でどの様な仕事をどの様な立場で(監督者等)従事したかの記録が蓄積されて行きます。
CCUSの登録の有用性
建設業界人手不足の原因
建設業の人材不足の原因の一つは、若年層がこの業界を敬遠しがちなことでしょう。3Kだからという声もありますが、以下の2つも大きな要因として挙げられています。長時間労働もですが、長年積み重ねてきたキャリアを実績として客観的に証明できないために、年齢が評価の主軸になっていることには不満を感じる人が多い様です。
- 休みが十分に確保されない(特に週休2日制が徹底されていない)
- キャリアに見合った評価がされず、賃金に反映されない
建設業界が目指している転換
建設業界では、政府主導でこのようなマイナス要因を払拭しようとしています。以下の3つを重点的に実施してより透明性の高い業界になることを目指しています。これらを実現するためのツールがCCUSです。
- 次世代の担い手を確保するために建設業のイメージを改善する
- 技能者の処遇を改善して賃金を上げる
- 施主に対する下請けの価格交渉力を向上させる
CCUS登録のメリット
事業主のメリットとして
- 雇用する技能者数、保有資格、社会保険加入状況が明らかになります。企業の実力が数値化できるので取引先からの信頼が得やすくなります。
- 技能者の能力評価と連動した施工能力の見える化が実現できます。
- 今後増加する外国人労働者の資格の確認が出来ます。
技能者のメリットとして
- 自分のレベルを数字で客観的に示せるので、能力に応じた年収を明示できます。
- レベルに応じた賃金の引き上げ交渉やダンピングの防止が可能になります。
と言うことが挙げられます。
CCUS登録に伴う助成金
CCUS普及のために以下の様な助成金が用意されています。是非活用してみてはいかがでしょうか。
1.人材確保等支援助成金
建設事業主団体が取り組む『CCUS当の普及促進のための研修会、説明回答の実施』や『建設現場での就業履歴を記録するカードリーダーの購入や専用アプリの利用』に対して支援されます。
2.建設キャリアアップシステム等普及促進コース
CCUSの普及促進を図ることを目的に、建設事業主団体が普及促進に向けた事業(最長1年間の計画的な事業)を実施した場合に助成されます。
対象となる事業は、
1)構成員の事業者登録、技能者登録料、レベル判定手数料等
2)CCUS登録に係る代行申請手続き
3)就業履歴を蓄積するカードリーダーの導入等
が対象です。
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